「会心の勝利」柴田善に称賛を “最年長コンビ”が波乱演出

佐藤直文 レース回顧
愛知杯

メンバー最年長のみならず鞍上も最年長 デンコウアンジュ

 重発表だったとはいえ開催後半の外差し有利ではなく、開幕週らしい内有利の馬場。いずれも内目の枠からロスのない立ち回りができていた馬が上位3頭までを占めたのは、波乱ながらも十分に頷ける結果だった。

 デンコウアンジュは、後方のインで脚を溜め、勝負どころからも内から前との差を詰めて行く形。直線で狙った最内は開かなかったが、前を巧く捌いて最後も内に潜り込んで一瞬の決め手を生かし切った。メンバー最年長の7歳にして56キロのトップハンデを克服した走りには頭が下がるが、時計のかかる馬場でコーナー4つの2000mという条件もピッタリの馬であり、そして何より現役最年長、柴田善臣ジョッキーの巧みな手綱捌きがもたらした会心の勝利であった。

 2着アルメリアブルームは、勝ち馬同様にロスのない立ち回りで、直線では一旦抜け出した3着馬をキッチリと交わしたが、勝ち馬に最内をすくわれては仕方なかった。クラブ規定で引退も間近ではあるが、重賞を勝つだけの力は十分に備わっている。

 3着レイホーロマンスは、いつになく前目のポジションで流れに乗り、勝負どころから勝ちに動いて直線半ばで一旦は完全に抜け出す形。最後は内と外から交わされたものの、こういう競馬ができるのなら、これまた7歳でもまだまだチャンスがありそうだ。

 4着フェアリーポルカは、中団追走から徐々に前との差を詰め、4コーナーでも外を回って伸びたもの。内容的には一番強い競馬をしたと見ることもできるが、小回りよりも広いコースの方がいいタイプだろう。

 5着センテリュオは、前半で置かれてしまい直線だけの競馬で見せ場すら作れなかったが、レースぶり自体は悲観するほどではなく、これまた小回りコースが合わない印象を受けた。

 パッシングスルーは、今日のような馬場は良くないのに加えてプラス14キロの重目残りが響いたか。サラキアは、中団から外を回って追い上げる形で、大外枠もあって自分の競馬ができなかったと言えるが、それでもここまで大きく負けたのは状態自体も本物ではなかったのだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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