勝った福永は敗者のようなコメント 10着ルナシオンは「最悪」

佐藤直文 レース回顧
クイーンカップ

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2ヶ月後の本番を前に一気に開花 ミヤマザクラ

 半マイル45秒7、1000m通過57秒7で離し逃げを打った馬だけがハイペースで、2番手以降は平均ペースという流れであったが、こういう競馬で一番難しいのが離れた好位の馬たちだ。仕掛けどころはもちろんのこと、今のような馬場では直線でのコース取りも選択肢が自由だからこそ難しかったりする。2番手から抜け出して、後方から来る馬たちを抑えた勝ち馬は、能力もさながら鞍上の好騎乗も光ったと言える。

 そのミヤマザクラ。離れた好位の2番手から、直線は敢えて馬場の内を開けて抜け出す形。直後の馬は馬場の荒れた内目へ入れざるを得ず、外から来る馬にも馬体を併せることができて出し抜けを喰らうことがない、という、前述したような福永騎手の絶妙のプレーだった。その福永騎手は、思い通りのタメを利かせる競馬ができなかったということで、「不本意なレースになった」と敗者のようなコメントを残していたが、馬体に成長を見せ、何より能力の高さを示したことで、直行することになる桜花賞ではどんな走りをするのか、楽しみである。

ミヤマザクラ

好位から抜け出した2番人気ミヤマザクラ(白帽)がV(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マジックキャッスルは、勝ち馬とは対照的に後方でジックリと脚を溜め、直線では大外から際立つ伸びを見せたもの。馬体重こそプラス2キロとさほど増えてはいなかったが、中身が伴った感を受ける馬体で、成長も示したと言える。これまた本番でも、同じように脚を溜める競馬で展開も向けばチャンスはあるはずだ。

 3着セイウンヴィーナスは、今までになく流れに乗る形の競馬ができたことは大きな収穫で、コース適性も示したと言える。自己条件に戻れば、2勝目も時間の問題だろう。

 4着アカノニジュウイチは、デビュー戦同様に出負けして後方からとなったが、気性的に現状では極端な競馬しかできないのかもしれない。理想は、そのデビュー戦のような大外一気の形だろうが、直線ではインから目立つ伸びを見せていた。気性面での成長があれば、これまた1勝クラスは楽に突破できる器だろう。

 5着シャンドフルールも、直線で馬場の内目から脚を使っていたが、伸びはジリジリ。トビの大きな馬だけに、もっと綺麗な馬場が理想だろう。

 ホウオウピースフルは、直線でもうひとつ弾けなかったが、これはプラス12キロと余裕残しの仕上げだった分か。次に変わる可能性は十分ある。ルナシオンは、出遅れて押っつけて行ったところで持ってかれるという最悪の形。素質は確かだが、気性面での成長が必要だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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