横山武、自らの手でライバルを… 3着ダノンザキッドは課題克服できず

佐藤直文 レース回顧
弥生賞

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自身のみならず父ドゥラメンテの産駒も重賞初V タイトルホルダー

 昨年はサトノフラッグが、父の名がレースに刻まれた元年で勝利を飾るなど、このレースを5連覇していたディープインパクト産駒が今年は不在。デビューを待つのはあと2世代となったが、最後の世代はごく僅かの登録しかないために、実質はあと1世代しかないとも言える。ただ、ディープ自身もサンデーサイレンス晩年の産駒だったことを思えば、まだデビューを待つ世代から血を長く継承する馬が出てきても不思議はないだろう。

 タイトルホルダーは、折り合い面に課題があった馬だが、スッと先手を取って単騎での逃げとなり、2番手からのプレッシャーも受けなかったことで実にスムーズな競馬ができた。しかも、1000m通過が62秒6のスローペースに持ち込んだことで、ゴールまでしっかりと伸び切ったもの。2歳王者を除けば小粒なメンバー構成だったとはいえ、本番と同じ舞台のGIIを勝ち切った意味は大きい。その本番では、共同通信杯を勝ったエフフォーリアに騎乗するであろう横山武騎手(本人は明言を避けたが…)にとっては、自らの手で新たなライバルを浮上させてしまったとも言えよう。

タイトルホルダー

4番人気タイトルホルダーが逃げ切りで重賞初制覇

 2着シュネルマイスターは、2番手からこの馬にとっても楽なペースで粘り込んだ形。ただ、結果的に前を捕えられなかったあたり、今日のペースだから距離に対応できたとも言えそうで、やや寸詰まりの体型からもマイルがベストの感を受けた。

 3着ダノンザキッドは、序盤から行きたがっていて折り合い重視で運ぶ形となったが、今日の流れでは中団からでも厳しいポジションだったもの。ただ、直線を向いてもすぐに手前を替えられず、本来の伸びを見せたのは坂下あたりでようやく手前が替わってからだった。本番へ向けて課題を持って臨んだ一戦だったが、それが克服できたとは言い難いレースに思えた。

 4着ソーヴァリアントは、3着馬を前に見る形で運び、上がり3ハロンも同じ最速タイで差を詰めたもの。皐月賞の出走権は獲得できなかったが、自己条件に戻ればすぐにでも勝てるはずだ。

 タイムトゥヘヴンは、道中3番手から勝負どころで2着馬を追う形で進出したが、ペースを考えれば完全に力負けと言える内容。ゴールデンシロップは、秀逸だった未勝利勝ちの内容を考えると、とても力を出し切ったとは言えない。初めてだった右回りの影響もあったのだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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