外、外、とにかく外へ 直線1000mさながらのレースで分かれた明暗

佐藤直文 レース回顧
新潟記念

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外ラチ沿いを突き抜けて重賞初制覇 マイネルファンロン

 今年は雨の影響もあってか例年以上に馬場が荒れ、最終日は直線のみならず道中から内が全く伸びない状態。掲示板を占めたのも6枠よりも外の馬たちであり、ゴール前などは直線1000mさながらの外ラチ沿いの攻防となったほどだ。枠順の有利不利もあったが、ロスを承知で大胆に外へ進路を取る鞍上の的確な判断も求められたと言えよう。

 マイネルファンロンは、スタートで後手を踏んで自分の形に持ち込めなかったが、M.デムーロ騎手も腹を括って後方で気分良く走らせる策を選んだのが、まずは勝因のひとつ。渋った馬場への適性もあったが、直線を向いてから巧く馬場のいい外へ誘導し、ラチ沿いを突き抜けて見せた。まさしく鞍上にとっても会心の騎乗ではなかったかと思う。

マイネルファンロン

一番外を通った12番人気の6歳馬マイネルファンロンがV

 2着トーセンスーリヤは、大外枠を引いたこともあってかスタートでポジションを取りに行かず、中団の外目で馬場のいいところを選んで走らせる形。直線でも思い通りに馬群の一番外から一旦は抜け出したが、更に外から来られるとは。最後は斤量の差もあったと言えるだけに、本格化をアピールした負けて強しの競馬だった。

 3着クラヴェルは、勝ち馬と同様に後方でジックリと脚を溜めて、直線でもしっかりと伸び、ベストの形で力は出し切れたように思う。

 4着ヤシャマルは、中団で折り合って直線では馬場の中ほどを通って力強い伸びを見せたもの。外から来た上位3頭にこそ伸び負けしたものの、確実な地力強化をアピールする走りだった。

 5着ラインベックは、先行勢で最先着とはいえ、スローな流れの中で抑えすぎた印象。決め手比べでは分が悪い馬だけに、もう少し後続に脚を使わせる形が理想だったろう。

 ザダルは、前述したように厳しい2番枠で、なおかつスローで馬群が固まって直線でも馬場の中ほどに持ち出すのがやっと。ただ、2000mのスタミナ比べは合わず、ベストは1800mかもしれない、とも思える負け方だった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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