ドイツの名手のエスコートで、マジックタイムが男馬を撃退

佐藤直文 レース回顧
ダービー卿CT

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神騎乗に導かれ 紅一点マジックタイム

 昨年は条件戦を連勝して臨んだモーリスが、ここで重賞初制覇を飾り、その後の快進撃で年度代表馬の座も射止めたが、今年も上位人気を形成したのは“重賞未勝利”の馬たちだった。予想もその人気3頭に◎○▲で、荒れるハンデ重賞ではあっても、今年は順当決着と見ていたのだが、よもや3頭全てが連に絡まないとは…。

 勝ったマジックタイムもまた重賞未勝利馬だったが、まずはシュタルケ騎手の神騎乗を褒め称えたい。中団前めで流れに乗って、直線入り口で先団が荒れたインを開けたところに躊躇なく突っ込み、先に抜け出していた2着馬を内からすくった形。メンバー唯一の牝馬で最軽量の53キロにも恵まれたと言えるが、今日の馬場での1分32秒8も優秀なタイムであり、最も得意とする東京1600mでのヴィクトリアマイルが楽しみになったと言えよう。

マジックタイム

インを突いたマジックタイムが牡馬相手に重賞初制覇(黄帽、撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ロゴタイプは、出して行っての先行策で直線では早目に抜け出す形。最後は勝ち馬に伸び負けしたとはいえ、斤量差5キロの58キロを背負っていたことを考えれば、中山でGI2勝の実力馬が復調をアピールしたと言える。皐月賞以来となる3年ぶりの勝利も、そう遠くはないはずだ。

 3着サトノアラジンは、プラス10キロの馬体重が示す通りの余裕の仕上げ。勝負どころでの反応が一息だったのも、そのせいだろうが、ラストは勝ち馬の後を追うようにインから伸びており、力は示していた。次はベストの走りができるはずであり、評価を下げるべきではないだろう。

 4着ダイワリベラルは、勝負どころから外を回りながらも、よく脚を伸ばしていた。同じ位置で運んだ勝ち馬と比べてかなりの距離ロスがあったことを考えれば、地力強化を示す内容であり、相手次第では今後もチャンスが生まれそうだ。

 5着サンライズメジャーは、先行馬に恵まれたペースだったとはいえ、2着馬に早目に来られてからも渋太く粘っていた。重賞ではワンパンチ足りないが、オープン特別ではまだまだ暴れることができそうだ。

 ダッシングブレイズは、スタートで躓いて後方から。今日の流れでは競馬に参加できなかったのも仕方ないが、ジョッキーもおっかなびっくりの騎乗だったようにも思えた。基本的に中山向きとは言えない馬でもあり、これまた大きく評価は下げられない一戦だろう。キャンベルジュニアは、最内枠で包まれることを嫌ったのか、意識的にハナへ行ったことが裏目に出たもの。楽なペースだった割には案外の失速だったが、これまで逃げたことのない馬なのだから大目に見ていいかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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