【日本ダービー回顧】“騎手力”と“厩舎力”でタスティエーラ 「実質超スロー」で問われた判断

佐藤直文 レース回顧
日本ダービー

ジャパンカップ・京阪杯・京都2歳S 予想提供中! プロ予想家40人集結、優馬プレミアム。

上位4頭タイム差なしの大接戦を制し タスティエーラが世代の頂点へ

 前半1000m通過こそ60秒4の平均ペースだったが、その後にペースが淀んだにもかかわらず、逃げた馬が後続を大きく引き離す展開。2番手以下の馬たちにとっては明らかなスローペースであり、実際に上位を占めた馬たちがいずれも上がりが33秒台前半だったことを考えても、ポジション取りの差が結果を大きく左右したと言える。

 タスティエーラは、初動で好位4、5番手のポジションを取れたことが、第一の勝因だったか。しかも、完璧に折り合えていたことで、道中も全く無駄な動きがなかった。直線残り1ハロンで先頭に立ってからは思いのほか弾けず、ゴール前では猛追される形となったが、道中で右前の落鉄があったとのことで、皐月賞のように先頭に立って気を抜いたわけではなかっただろう。ジンクスを破ったテン乗りでのダービー制覇は、もちろんレーン騎手の騎乗ぶりもさることながら、短期間でウィークポイントを矯正してみせた厩舎の力があってこそだったか。

タスティエーラ

大接戦のゴール前を制したのは皐月賞2着馬のタスティエーラ(右緑帽)

 2着ソールオリエンスは、これまた勝ち馬を前に見る絶好のポジションだったが、完全な上がり勝負となった今日のペースは、皐月賞とは全く違うもの。それでもクビ差まで追い詰めたのは能力の証しと言えるだろう。

 3着ハーツコンチェルトは、出負けして序盤は後方からとなったが、向正面で徐々にポジションを上げて3コーナーでは好位に取り付いていた。松山騎手も巧く乗ったと言えるが、最後に差し切るまでには至らなかったのは、やはり道中で脚を使った分だったか。

 4着ベラジオオペラは、最内枠から無理にポジションを取りに行かず、中団で脚を溜める形。その分、ラストの伸び脚は目立っていたが、欲を言えばもう一列前で運びたかったところだ。

 5着ノッキングポイントは、上位馬とは瞬発力の差が出た形となったが、中団から直線でもジワジワと差を詰めた。一気の距離延長も克服したことで、今後の選択肢も広がることだろう。

 ファントムシーフは、良馬場での瞬発力勝負ではやはり厳しいハービンジャー産駒。序盤で好位を取れなかったのは枠順的にも仕方なかったが、ペースが緩んだところでもポジションを上げられなかったのは痛かったか。同じような序盤の後手からポジションを上げていったスキルヴィングは、気の毒な結果となってしまったが、同様の競馬だった3着馬との能力比較を考えても、アクシデントがなければ上位に絡んでいたと信じたい。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

ジャパンカップ・京阪杯・京都2歳S 予想提供中! プロ予想家40人集結、優馬プレミアム。

ジャパンカップ・京阪杯・京都2歳S 予想提供中! プロ予想家40人集結、優馬プレミアム。

有馬記念特集

2024年有馬記念特集

有馬記念の結果、動画、出走馬一覧、単勝オッズ、歴代優勝馬、騎手・調教師データ、歴史などを紹介する特集ページです。出走馬一覧には、単勝オッズやデータを合わせて掲載。

  • 予想オッズ
  • 想定騎手
  • 有馬戦績
  • 優勝馬名
  • 優勝騎手名
  • レース動画

優馬 2歳馬チェック

優馬 2歳馬チェック

6月~12月に初勝利をあげた2歳馬を全頭チェック! 馬体は? 血統は? レース内容は? 総合的に判断をし、★評価をつけていきます。翌年のクラシック有力候補がきっと見つかるはず!

★5つ以上の馬を網羅。ダービー候補はこの馬!

ヒロイン候補が続出!? 牝馬の★評価。

注目勝ち上がり馬情報など毎週月曜か火曜更新。

トラックマン・記者一覧

競馬専門紙「優馬」トラックマン・記者一覧

平日はトレセンで東奔西走、週末はレース予想&馬券に全力投球。競馬専門紙「優馬」を支えるトラックマン&記者のプロフィールをご紹介します。