“世代No.1”サトノダイヤモンドが菊戴冠 来年の秋には“世界No.1”を

佐藤直文 レース回顧
菊花賞

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強い馬が勝つ菊の舞台で 燦然と輝いたダイヤモンド

 今年は5頭がラインナップしたディープインパクト産駒。平地の3000m以上の競走では、重賞以外でもいまだ勝ち鞍がなく、種牡馬として史上8頭目のクラシック完全制覇と、史上初となる3歳GI完全制覇の偉業は、この菊花賞が最後のピースとなっていた。ただ、今年の産駒は、父サンデーサイレンスの年間重賞勝ち記録を上回ろうとするハイペースであり、産駒の初勝利となった重賞も数多い。そして、その中の2つが、前哨戦であるセントライト記念と神戸新聞杯なら、機は熟していたろうか。

 1週スタンド前での1000m通過ラップは59秒9と、程良く流れていたが、そこから13秒台のラップが続いて一気にペースダウン。ここで我慢できなかった馬が数多く見られたが、そんな中でもサトノダイヤモンドは、我関せずの走りだった。これは肉体面だけでなく、精神面でも春から大きく成長した点であり、持てる能力をフルに発揮できたと言えよう。今日の完勝ぶりから、名実ともに“世代最強”をアピールし、おそらく“国内最強”の称号も遠からず手中にできるだろう。そして来秋には、凱旋門賞での走りが是非とも見たい。

サトノダイヤモンド

ラスト1冠を獲得したサトノダイヤモンド(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着レインボーラインもまた、ペースが緩んで気が逸る馬が続出した中で、自分の競馬に徹していた。鞍上も、ジックリと脚を溜めて末を伸ばしたダービーのイメージで乗っていたように思えるが、同じ競馬でも成長した今なら届く、との自信があったのだろう。そのダービーまではマイル路線を歩んではいたが、やはりステイゴールド産駒らしく、この距離がいい。

 3着エアスピネルは、とにかく武豊騎手の好騎乗に尽きる。レース後のコメントでは“もう少し折り合えていれば”との言葉もあったが、ダービーはもちろん皐月賞でも、おそらく距離が長かったと思える馬を、ここまで走らせるテクニックは、さすが“菊を最も良く知る男”である。

 4着ディーマジェスティは、前半こそ後方で脚を溜めていたが、途中からサトノをマークする形のポジションに。そのこと自体は悪い作戦ではなかったろうが、道中で脚を使ってしまったことにより、本来の破壊力が削がれてしまったように思える。ただ、最後はガス欠した印象も受け、距離が長かった可能性もある。

 5着ミッキーロケットは、夏場から4戦を消化して上がり目に薄かった上に、正直、距離が長いとも思えたが、それでここまで走ったのは能力の成せる業だろう。中距離路線に戻れば、大きなところも狙える馬だ。

 3番人気の支持を受けていたカフジプリンスは、勝負どころでエンジンのかかりが遅く、直線でも馬群に包まれて満足に追えなかった。ただ、最後はよく伸びていたように、距離自体の適性は感じさせる競馬だった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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