重賞連勝ヤングマンパワー 上手に立ち回ればマイルCSでも…

佐藤直文 レース回顧
マイルCS富士S

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戸崎騎乗で3連勝 ヤングマンパワーが富士からマイルの頂上へ

 テンの3ハロンが36秒3、1000m通過が59秒8のスローペース。遅い流れには変わりないが、頭数や一団となった馬群を考えれば、脚さえあればどこからでも、というスローの瞬発力勝負になったものであり、同じスローでも完全な前残りとなった安田記念とは微妙に異なる競馬であった。

 ヤングマンパワーは、好スタートから一旦はハナを切る構えだったが、“行きたい方はどうぞ”という具合に2頭を先に行かせての好位3番手。直線では無理に外へ持ち出さず、内を開けた2頭のインにもぐりこんでアッサリと抜け出す形で、実に上手な立ち回りだった。今回は位置取りでも恵まれたと言えるが、この馬の良さをよくわかっている戸崎圭騎手だからこそ、とも思える競馬。2着を離して勝つタイプではないので、マイルCSでもそれほど人気を集めることはないだろうが、立ち回りの巧さが生かせる競馬になれば、十分チャンスがあるはずだ。

ヤングマンパワー

重賞3勝目をあげたヤングマンパワー(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着イスラボニータは、久々で100%のデキにないのは当然としても、9分に近いくらいの好仕上り。このスローでもスムーズに折り合い、直線でもロスのないコース取りでの好走だった。勝ち馬とは1キロの斤量差があったことを考えれば、力に衰えのないことも示した形で、やはりマイルが一番合っている馬だろう。

 3着ダノンプラチナは、道中は勝ち馬の外でほぼ同じ位置取りだったことを考えれば、少々不満の残る内容。大幅な馬体減だった前走後に、陣営からは“これがベストの体”という声が聞かれたが、今回はプラス10キロの馬体。中間に今一つ攻め切れなかったのかもしれない。

 4着マイネルアウラートは、スローペースの2番手から、持ち味を生かし切った形だが、頭数以上にハイレベルの組み合わせだったここでは、これが精一杯だったか。

 5着ガリバルディは、4角シンガリからメンバー最速の上がりで差を詰めたもの。展開を考えれば、よく走ったとも言えるが、これまたGIレベルの相手では、もうワンパンチ足りないか。

 ロードクエストは、枠なりに外を回らされる形で、最後はジョッキーも競馬をやめていただけに、着順は参考外と言える。ただ、今回の競馬を度外視して次走は狙えるか問われれば、ちょっと待って、と言わざるを得ない負け方。本来はスローの瞬発力勝負にも対応できる馬であり、展開以外の敗因もあったはずだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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