充実のツクバアズマオー ワンランク上のレベルでも期待大

佐藤直文 レース回顧
中山金杯

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6歳にして飛躍の年に ツクバアズマオーが初重賞制覇

 年明け伝統のハンデ戦だが、昨年までの過去10年で53キロ以下のハンデで馬券に絡んだのは僅か1頭。対して、トップハンデの馬の好走例が多いことを考えれば、ハンデ差を精査するより、あくまでも実力比較を重視すべきレースだろう。実際、最近2年の馬券対象馬6頭はいずれも前走より斤量の増えていた、つまり実力を評価されてハンデを背負わされていた馬だったが、今年のメンバーで前走より斤量が増えていた馬は僅か2頭、1・2着馬のみであった。

 ツクバアズマオーは、前半60秒4という平均ペースの流れを前半は少し後方で構え過ぎかとも思ったが、3コーナーから大外をマクリ気味に進出して、直線では力で捻じ伏せる強い競馬であった。良化の余地を残していた前走からの上積みも大きかった上に、鞍上の吉田豊騎手も完全に手の内に入れている印象。目下の充実ぶりを考えれば、少なくともこの中山コースならもうワンランク上のレベルの馬とも互角に戦えるはずだ。

ツクバアズマオー

マクリ気味の進出から他馬を捻じ伏せたツクバアズマオー(赤帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着クラリティスカイは、これまた前走からの良化度合が大きかったと言えるが、枠なりに好位で巧く運んで全くロスのない立ち回りだったものであり、田辺騎手の好騎乗が光った。ゴール前でも勝ち馬に渋太く食い下がっていたが、最後は1キロの斤量差もあったろうか。いずれにせよ、復調が見えたレースぶりであった。

 3着シャイニープリンスは、中団で流れに乗り、直線では馬群からジワジワと渋い脚を使った形。キレるタイプではないが、やはり地力はある。

 4着シャドウパーティーは、直線で坂を上がってから一旦は3着かと思えた見せ場十分の内容。時計や上がりのかかる馬場や、一瞬の脚が生きるコースが合っていると言えるが、8歳を迎えてもまだ衰えがないことを示した。

 5着カムフィーは、後方から自分の競馬に徹して勝ち馬に次ぐ上がりで脚を伸ばしたもの。これまで重賞・オープンでの好走例は長距離戦しかなかったが、この馬も年齢的な衰えを見せない大健闘だった。

 ストロングタイタンは、自分のリズムで走れていなかった印象を受けたが、このあたりはキャリア不足が露呈したもの。相手強化や長距離輸送も影響したと言えるが、中山コース自体が合わないわけではないだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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