フロック視できない勝ちっぷり 活躍望めるライジングリーズン

佐藤直文 レース回顧
フェアリーS

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今年も波乱の決着に 気性成長でライジングリーズン

 この時期のマイル重賞となった2009年以降の過去8回で単勝二桁人気の馬が6連対、しかも最近5年連続で連対中という波乱度の高いレース。今年もまた、1番人気馬が連軸としての期待に応えたとはいえ、勝ったのは単勝10番人気の伏兵馬という波乱の決着となった。

 前半3ハロンが34秒7、1000m通過が58秒0と、適度の流れではあったが、縦長の展開だったこともあり、ある程度のポジションが要求された印象。そんな中でライジングリーズンは、外枠からリズムを崩さずに中団外目をキープし、直線で力強く抜け出すという、とてもフロック視などできない勝ちっぷりだった。全く競馬にならなかった前走のアルテミスSと比べても、気性面で大きな成長を示したと言えるし、脚の使いどころが上手でセンスも十分。過去の勝ち馬が大成しない傾向もあるが、この馬に関してはまだまだ活躍が望めそうだ。

ライジングリーズン

力強い競馬を見せたライジングリーズン(桃帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着アエロリットは、好枠を利して2番手から。折り合いもスムーズだっただけに、押し切っても良かったと思えたが、外から一気に来た勝ち馬と馬体が合うシーンがなかったことに加え、やはり先行馬にはキツいペースだったか。

 3着モリトシラユリは、ダートで未勝利を勝ち上がったためか人気の盲点となっていたが、直線での脚色は目立っていた。勝ち馬との差は仕掛けのタイミングの差と見ることもできるが、折り合いの心配がないタイプで距離はもっとあって良さそうだ。

 4着ジャストザマリンは、内々をロスなく立ち回って最後まで渋太く脚を伸ばしていた。これまた、距離が延びていい馬かもしれない。

 5着アルミューテンは、好位からバテずに粘り込んだもの。先行勢には厳しい流れだったことを考えれば上々の内容で、自己条件に戻ればチャンスは近いだろう。

 コーラルプリンセスは、課題のスタートが一息だった上に、序盤でポジションを上げに行かなかったことが裏目に出たか。直線でも馬群の捌きに手間取り、最後まで闘志に火が点かなかった印象。キャスパリーグは、大外枠から勝ち馬と同じようなレース運びであったが、直線では全く反応しなかった。秋から数えても4戦目で上がり目にも乏しく、少し人気になり過ぎていたか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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