昨年より強い! 円熟の7歳馬ダンスディレクターが連覇

佐藤直文 レース回顧
シルクロードS

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連覇を土産に忘れ物を取りに行く ダンスディレクター

 1分7秒8というこの時期の芝にしては速い決着タイムは、過去10年でも2014年のストレイトガールに次ぐもの。そのストレイトガールが、この勝利をきっかけにGIでも上位の常連となったことを考えれば、今年の勝ち馬にもそれ相応の活躍が期待できそうだ。

 そのダンスディレクターは、昨年に次ぐ連覇となったわけだが、好位のインから抜け出した昨年とは違い、後方で脚を溜めての直線一気。2着との着差こそ今年の方が詰まったが、強さという点では今年の方が断然上で、やはりこういう競馬の方がいい馬だ。7歳を迎えたが熟成されたレースぶりとも言え、昨年は参戦できなかった高松宮記念へ、まずは無事で駒を進めてほしい。

ダンスディレクター

鋭い末脚でシルクロードS連覇を達成したダンスディレクター(黄帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着セイウンコウセイは、前走同様にハナにはこだわらず、好位の外目で運ぶ形。直線では同じ勝負服のネロを目標に一旦は抜け出して力を出し切ったものであり、勝ち馬にあの脚を使われては仕方ないだろう。地力強化を十分にアピールした上に、今日のようなレース運びができるのなら、重賞制覇も時間の問題だ。

 3着セカンドテーブルは、好位を運んで直線ではインから渋太く伸びたもの。相手なりに走る面を改めて示した形だが、鋭い決め手を持っているわけではないので、流れが厳しくなればなるほど良さが出るタイプでもある。そう考えると、今日は少しペースが落ち着き過ぎたとも言えそうで、それで3着ならかなりの評価を与えていいだろう。

 4着ヒルノデイバローは、4角最後方の大外から、勝ち馬に次ぐ上がりで差を詰めたもの。直線半ばで、一旦は勝ち馬とともに突き抜けるかという勢いもあったが、最後に止まったのは4角でかなり外を回ったロスの分か。展開に注文が付くとはいえ、条件さえ揃えば重賞でも勝ち負けできる能力はある。

 5着ラインスピリットは、枠なりに後方のインで脚を溜め、直線でも渋太く差を詰めた。上位とは現状の力の差があると見ていいが、脚質転換も板に付いた印象を受けた。

 ソルヴェイグは、スタートを決めてハナへ行く形となったが、前半3ハロン33秒9はけっしてオーバーペースとは言えないだけに、案外の失速だった。久々で息がもたなかったのだろうが、プラス18キロの馬体重は成長分であり、太目残りが敗因ではないと思える。それを突つく形で運んで先に失速したネロも、普通の状態ならここまで負ける馬ではない。昨年もこのレースでは9着と崩れており、この時季が良くないのか。ブランボヌールも、ソルヴェイグと同様に、久々でも体はデキていたが息がデキていなかったと見るべきだろうが、それでもここまで負けたのなら、再度立て直しが必要かもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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