完璧騎乗でローズプリンスダムが大金星 3着エピカリスは“中途半端”

佐藤直文 レース回顧
レパードS

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道中は内、直線で外 ローズプリンスダム

 前半1000mの通過ラップが61秒7というのはけっして速い数字ではないが、全体的に時計がかかっていた今週の新潟ダートで、決着タイムもこれまでで最も遅い1分52秒9だったことを考えれば、そうそう前が楽なペースではなかったはずだ。加えて、逃げた馬の直後の先行グループがひとかたまりになったことも、先行勢にとってはストレスの多い展開となったように思える。

 ローズプリンスダムは、内枠から好スタートを切ったが、先行争いにはあえて加わらずに、ロスなくインを回る形。道中は先行グループを前に見る形で、こちらはストレスなく脚を溜めて運べていた。直線を向くと、そのままインを狙わずに巧く先行集団の外へ持ち出し、キッチリと前を捉えて抜け出した形。完璧に近い鞍上の騎乗ぶりと展開にも恵まれたとはいえ、抜け出す時の脚は速く、強い内容であった。

ローズプリンスダム

鞍上・木幡巧也とともに重賞初制覇を果たしたローズプリンスダム(黒帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着サルサディオーネは、気合を付けてハナへ行ったのが大正解。前走から着用しているチークピーシーズの効果と、道中で2番手以降からのプレッシャーもなかったことで、自分のペースを守ることができたが、前述したように時計のかかる馬場を考えればけっして楽な流れでもなかっただけに、フロック視はできない好走であろう。

 3着エピカリスは、とにかく中途半端な競馬になってしまった。途中から動いて前を捉えに行くか、逆にもっと悠然と構える形で運べば、アッサリもあったと思えるが、鞍上には状態面でそこまで信じることができなかったのではないか。道中でモマれて、直線では進路を失い、正味追えたのはラスト100mくらいしかなかったことを思えば、3着でも能力は示している。今後は古馬との戦いになって、一層、展開も厳しくなるだろうが、今回の経験を是非とも次に生かして欲しいところだ。

 4着ブライトンロックは、後方に控えての直線勝負という鞍上らしい決め撃ちだったが、うまく馬群を捌けたことで、アワヤのシーンを作った。今後は、流れに乗る形で今日のような末脚を使えるかが課題となる。

 5着ノーブルサターンは、ハナへ行く理想の形は取れなかったが、崩れずに踏ん張ったもの。逃げた馬が2着に粘ったので、ハナへ行けていれば、という見方もできるが、こういう形で競馬ができたことは今後への収穫となるだろう。

 ハルクンノテソーロは、距離が延びたことでいつもより前目で追走できていたが、4コーナーで大外を回るロスもあって、今日はここまで。テンザワールドは、展開的にも厳しかった位置取りから、鞍上も勝ちに動いたもので、それでも大きく崩れなかったことは評価できる。タガノディグオは、立ち遅れ気味のスタートから、前を見る形で運びたかったのか、イメージよりも前のポジションに。前半で少し脚を使った分もあったが、それにしても全く伸びなかったのは体調面に問題があったのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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