もはや暮れの風物詩と言える最強タッグ アルバート&ムーアが3連覇

佐藤直文 レース回顧
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外目進出から何の苦労もなく アルバート

 GIIの別定戦としてはメンバーの質のみならず頭数も少し淋しい感を拭えない一戦となったが、レース2連覇中のマラソン王者が57キロの斤量で出走できるとあっては、挑戦者が手薄になるのも仕方ないかもしれない。ただ、前半1000mは62秒2と、この距離としては速めのラップであり、勝負どころから先行好位勢が早目にスパートをかけるなど、王者への抵抗も示して、それなりに見応えのあるレースだったように思う。

 アルバートは、そういった挑戦者の抵抗にも我関せずとばかりに、道中は後方でジックリと構え、3角を過ぎてから馬群の外目を進出し、直線では先に抜け出した2着馬を並ぶ間もなく交わしさる横綱相撲。適度な流れだったこともあったが、何の苦労もなく3連覇達成となった。この秋2戦こそは案外の内容だったが、ようやく本来の姿を見せた形であり、これまでは結果が出ていないGIの舞台でも、体調さえ伴えばけっして手が届かない馬ではないはずだ。

アルバート

断然人気に応え3連覇を達成したアルバート(左)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着フェイムゲームは、プラス16キロの体重こそ太くは見えなかったが、道中でいつになく掛かり気味になったあたり、やはり少し重かったか。ただ、早目に動いて一旦は抜け出した内容自体は力に衰えがないこと示すものであり、相手が悪かっただけだろう。

 3着プレストウィックは、自分の競馬に徹して直線ではらしい伸びを見せたもの。前走を叩いての上積みもあったし、中山の長距離戦もこの馬には合っている。上位2頭とは力の差と言えるが、持てる力は出し切ったと見ていい。

 4着プロレタリアトは、勝負どころから勝ち馬と並ぶように進出して、直線でも渋太く脚を伸ばしていた。これまでの実績を考えても大健闘と言えるだろう。

 5着シホウは、これまたプラス14キロだったが、このくらいの体重でも走っている馬であり、言い訳にはならないだろう。まだ重賞では力不足と見るべきか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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