大番狂わせロジャー、リズム狂ったサートゥル 何が問われた今年のダービー

佐藤直文 レース回顧
日本ダービー

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3強を従えて あっと驚くロジャーバローズ

 11万人を超える大観衆を集めた今年の日本ダービー。前半1000m57秒8は、キングカメハメハが当時のダービーレコードで制した2004年に次ぐ史上2番目に速いラップだったが、逃げたリオンリオンはハイペースとしても、2番手以下はそこまでのペースではなかった。ただ、先週のオークス同様に淀みない流れとなったことで、瞬発力勝負ではなく消耗戦に。上がり33秒台はおろか34秒台の実績すらなかった馬が勝ったという事実も、今回のダービーで何が問われたのかを示したと言えよう。

 ロジャーバローズは、絶好の最内枠から、大逃げの2番手で自身が逃げているのと同じ形でのリラックスした走り。とにかく自分の走りに徹して、力を余すことなく出し切った結果が、2着馬をクビ差封じてのゴールとなった。人気の一角に推されながら7着に敗れた2走前のスプリングSが、この馬本来の走りでなかったことは明らかだったが、自分の競馬で勝てなかった前走にしてもまだ良化途上だったのだろう。そこからの中2週で100%の状態に仕上げた陣営、小細工なしに馬を信じて100%の力を出し切らせた鞍上、そして何より枠順も含めての運、と全ての条件が噛み合っての大番狂わせであった。

ロジャーバローズ

最後まで渋太かった12番人気のロジャーバローズ(白帽)が戴冠(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ダノンキングリーは、好位で流れに乗れていたとはいえ、後方のライバル2騎を意識しつつ、自分で動いて前を掴まえに行ったのだから、これは乗り方の問題ではなく力を出し切っての2着であり、勝ち馬の渋太さを褒めるべきだろう。状態の良さや東京コースの適性の高さもあったとはいえ、今日の流れで2400mをこなせたのであれば、想像以上に距離適性もあったと言える。

 3着ヴェロックスは、中団の外目で直線を向いたが、さらに外からサートゥルナーリアが来るのを待っての追い出し。結果的には相手を間違えたと言えるが、2着馬を目標にしていれば、最後にサートゥルナーリアを差し返した脚を考えても、もう少し際どい勝負になっていたか。

 4着サートゥルナーリアは、出遅れてリズムが狂ったのが全てと言えるが、パドックから返し馬までは落ち着いていたのに、発走直前の輪乗りでは首を上下してイレ込んでいた。このあたりは兄エピファネイアを彷彿とさせたが、ゲートでもソワソワしていて、1番人気馬にタイミングを合わせると言われているスターターも、対応できなかったのだろう。今まではこういった気の悪さを見せていなかった馬だが、この時期としては記録的な暑さだったことも影響したのだろうか。

 5着ニシノデイジーは、近走こそチグハグな競馬が続いていたが、中団でしっかりと折り合って脚を溜めたことで、直線では内からいい脚を使えていた。もともとレースセンスは高い馬であり、スムーズな競馬ができればこれくらい走って不思議はなかっただろう。

 ランフォザローゼスは、追われてジリジリだったあたり、もう少し前のポジションで運びたかったと言えるが、それでも3着馬との差は僅かであり、今後の成長次第ではその差を埋めることも十分可能な馬だ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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