ブラストワンピースは貫録示すも アクシデントが結果を左右した一戦

佐藤直文 レース回顧
アメリカJCC

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完調手前でも力が違った ブラストワンピース

 稍重発表で時計のかかる馬場だったとはいえ、前半1000mは62秒4のスローペースで決着タイムの2分15秒0も平凡な数字であった。ただ、これは4コーナー手前で2番手にいたマイネルフロストの故障により、逃げていた馬や内を回っていた馬以外のほとんどがそのアオりを受けた結果であり、そのアクシデントがなければ時計も結果も違っていた可能性がある。

 ブラストワンピースは、緩いペースの割りに馬群がバラけたこともあって、道中は4番手の絶好位で運ぶことができた。3~4コーナーの勝負どころで少し反応が遅れたが、これは久々の分もあったろう。この馬もアクシデントの余波を受けたが、ロスを最小限にとどめたばかりか、直線を向いて勝負の相手は外の馬ではなく、インをすくった2着馬と踏んで馬体を併せて行った川田騎手の好判断も見事であった。帰厩当初よりは絞れたとはいえ、546キロの馬体はベストよりも10キロ程度重く、けっして完調とは言えない状態での勝利は、まさにGIホースの貫録を示したと言える。

ブラストワンピース

人気に応えたブラストワンピース、重賞はこれで5勝目(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ステイフーリッシュは、逃げた馬も4コーナーで馬場の外目に持ち出した中で、インをピッタリと回って一旦は完全に抜け出したもの。ルメール騎手の“神騎乗”に近い最高のレース運びで敗れたのなら、これは勝ち馬を褒めるしかないだろう。

 3着ラストドラフトは、今回もまた折り合い重視の運びで勝負どころから追い上げる形となったが、故障馬のアオりを受けて一旦ブレーキを踏む形となったのが痛かった。ラストも脚を余し気味だっただけに、悔やまれる一戦だった。

 4着ミッキースワローにも同じことが言える。道中は前に勝ち馬を見る形で、勝負どころの手応えも抜群であったが、勝ち馬の内に入れようとしたところで不利を受けて大外へ振られてしまったもの。ちょっと気の毒なレースとなってしまった。

 5着サトノクロニクルは、4着から水を開けられたとはいえ、これまた大きな不利を受けていた。長期のブランク明けでこれだけ走れば御の字であり、このあとも無事に使えるようなら、中~長距離路線で注目できる馬だろう。

 スティッフェリオは、逃げ切ったオールカマーの時とは全く違う馬場だったのが最大の敗因と言えるが、状態自体も当時のデキになかった感を受けた。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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