シルクロードS上位馬を「ハマっただけ」で片付けてはいけない

佐藤直文 レース回顧
シルクロードS

新旧交替を告げるスプリント路線 アウィルアウェイ

 テンの3ハロンが33秒8というラップは今の京都の馬場を考えれば速めかもしれないが、逃げた馬も2番手の馬も掲示板に残ったことを考えれば、そこまで速くはなかった。結果的に差し・追込勢が上位3着までを占めたが、単に展開を味方に付けてハマっただけ、と片付けてはいけないだろう。

 アウィルアウェイは、道中は後方でジックリと脚を溜め、4コーナーでスムーズに馬群を捌いて外目へ持ち出されると、55キロのハンデを課せられた4歳牝馬とは思えぬ鋭い伸びを見せて前を捉え切った。進路取りや追い出しのタイミングも含めて、川田騎手の巧さも光ったと言えよう。時計勝負には実績がない馬だが、高松宮記念でも今日のような時計のかかる馬場であればチャンスはあるはずだ。

アウィルアウェイ

外から後方待機組が押し寄せた一戦、制したのはアウィルアウェイ(青帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着エイティーンガールは、勝ち馬の直後のポジションから、これまた直線で巧く馬群を捌いて持ち味を生かし切ったもの。これまた4歳牝馬で、勝ち馬同様に少し時計のかかる馬場が合うタイプだろう。

 3着ナランフレグは、4コーナーで最後方から大外を回って追い込んだもの。もう少し丁寧に乗られていたら、とも思えたが、今の京都では不利な外目の枠だったことを考えれば仕方のない面もあったか。いずれにせよ、重賞でもやれる力は示したと言える。

 4着モズスーパーフレアは、もともとが今日のような重い馬場は向かない馬であり、それを考えればよく粘ったと言える。あくまで速い時計の出る馬場でこその馬だ。

 5着セイウンコウセイは、58キロのトップハンデでこれだけ走れるのは年齢的な衰えがないということ。昨年2着の高松宮記念でもノーマークにはできないだろう。

 レッドアンシェルは、直線半ばで異変を感じたジョッキーが追うのを止めてのシンガリ負け。無事を祈りたいところだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。