単勝3万超の大波乱はなぜ? ダイヤモンドSで問われた資質

佐藤直文 レース回顧
ダイヤモンドS

ステイヤーとして輝き再び ミライヘノツバサ

 道中でペースがガクンと緩むことも多いマラソンレースだが、今年のレースの特徴はラップから見ることができ、最初の1ハロンとラストの1ハロン以外は13秒台に落ちることがなかった。軽ハンデを利して逃げた馬がいいペースメーカーになったためと言えるが、この流れでは真のステイヤーとしての資質が問われることとなり、思わぬ大波乱決着ももたらしたように思える。

 ミライヘノツバサは、中団のインでジックリと脚を溜め、直線では馬群を割って力強い伸びを見せたもの。最後は外から2着馬の強襲に遭ったが、ハナ差凌いだところがゴールだった。3年前には日経賞でシャケトラの2着もあった馬だが、その後に1年半ものブランクを経てからは当時の輝きが失せていた馬。前走で抑える競馬をしたことが今回に繋がったとも言えるが、今まで見せることのなかったステイヤーとしての資質の高さを示した形だ。

ミライヘノツバサ

シンガリ人気のミライヘノツバサ(桃帽)がハナ差凌いで先頭ゴール(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着メイショウテンゲンは、後方で脚を溜めるだけ溜めたことが直線での伸びに繋がったと言えるが、道悪での消耗戦となった昨年の弥生賞勝ちを考えても、今日の流れは願ってもなかったことだろう。まだ4歳という年齢を考えても、一流ステイヤーとなる可能性を秘めている。

 3着オセアグレイトは、今日の厳しい流れを前々で運んで勝ちに行く形。上位2頭には5馬身もの水を開けられたが、内容的には一番強い競馬をしており、2着馬同様にステイヤーとしてこの先が楽しみになった。

 4着レノヴァールは、先団の最後尾で流れに乗り、4コーナーの手前から前を掴まえに行く、これまた強い競馬。重賞でもやれるメドは立ったと言える。

 5着タイセイトレイルは、後方からジックリと運んだ割には本来の伸びが見られなかった。今日の淀みない流れでは見た目ほど脚を溜められなかったのかもしれないが、3000m超の距離は少し長いとも言えそうだ。

 タガノディアマンテは、道中であれだけ離されては勝負にならなかったと言えるが、終始外へ張り気味で内へ潜り込めなかったあたり、左回りが良くないのだろう。追い上げに脚を使ったとはいえ、最後の止まり方を見ると、直線の坂も応えたか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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