キタサンブラックがぶち壊した「先入観」 武豊&エイシンヒカリは?
「先入観」がもたらした悲劇
「芝3000mという菊花賞を母父サクラバクシンオーのキタサンブラックが勝つ」ということは、血統を知っている人や、馬券の検討材料に血統という要素を重視している人にとっては予想の範疇を超えていたと言っても良いかもしれない。むしろ、「そうならないで欲しい」という願望もそこには含まれていたような気がする。
確かに、生粋のスプリンターであったサクラバクシンオーの仔には距離の限界があったのは間違いない。サクラバクシンオー産駒は芝2400m以上で〔0.0.0.12〕であるから、1800~2000m位までは買えても、それ以上となると流石に難しい。と言っても、そもそも長距離戦に出走する同馬の産駒自体が非常にレアなので、あまり考える必要もないだろうが。
では、母の父サクラバクシンオーだとどうか。芝2400m以上で通算すると〔3.4.5.52〕という成績である。意外と悪くない。キタサンブラックの菊花賞勝ちを入れた成績だが、芝2400mで2勝を挙げたトップカミングの様な馬もいるだけに、「母父サクラバクシンオーだから長距離では要らない」というのは早計だったのかもしれない。
しかし、こういった先入観は意外なほど多く蔓延っている。菊花賞で言えば1997年のマチカネフクキタル。トライアルを連勝したにもかかわらず、父がクリスタルグリッターズということで人気を落としていたことが思い浮かぶ。最近では三冠牝馬アパパネもそう。オークスの戦前はアパパネの母ソルティビッドが芝1200mまでにしか実績がないということで距離不安が囁かれていた。短距離血統だったオグリキャップがあれほどの活躍をしたことを考えると、本当に強い馬は血統を超え距離を超え、活躍するのだろう。
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