1~7番枠の馬が上位7着までを占める「完全に内が…」

佐藤直文 レース回顧
フィリーズレビュー

「岩田康らしい」間を割っての差し エーポス

 重かった馬場が急速に乾いたことで、上位7着までが7番枠以内という結果も示す通り、完全に内が有利の状態に。テンの3ハロンも33秒4という流れであったが、数字ほどのハイペースではなく、ある程度は前で運んだ馬にも有利な展開となったように思う。

 エーポスは、中団のインで脚を溜めて運び、直線を向いても外へ持ち出さず、インから間を割って末脚を伸ばす岩田康騎手らしい戦法。ゴール前でも2着馬がいい目標となって、キッチリ捉えての快勝だった。先週のチューリップ賞と比べると、メンバーレベルも落ちる一戦だっただけに、これで本番も有力とまではいかないが、今日のような競馬ができるのなら距離延長は間違いなくプラスであり、決め手は大きな武器となるはずだ。

エーポス

ラスト鋭く伸びた5番人気エーポス(赤帽)が桜花賞に名乗り(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ヤマカツマーメイドは、好位で流れに乗り、直線で自ら動いて勝ちに行ったもので、内容的には一番強い競馬だった。阪神ジュベナイルFの上位組がチューリップ賞でもそれぞれ結果を出しているだけに、そこで5着だったこの馬の走りが今日のメンバーレベルを測る物差しとなるだろう。

 3着ナイントゥファイブは、前述した内有利の馬場も味方したとはいえ、速い流れを2番手で追走して逃げた馬は交わしたのだから、それなりの評価はできる。

 4着カリオストロは、ハナに立つまで少し脚を使った分、最後まで粘り切れなかったが、馬場を味方に付けて現状の力は出し切っていたか。

 アヌラーダプラは、枠順も厳しかったと言えるが、鼻出血を発症したことを考えれば参考外の一戦。ただ、いろいろと難しい面を抱えている馬だけに、本当に良くなるのはまだ先だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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