数字以上にキツかったダノン 7着ブラストワンピースは「間違いだったかも」

佐藤直文 レース回顧
大阪杯

5歳にして満開宣言 ラッキーライラック

 抜群のスタートを決めた1番人気ダノンキングリーが、押し出される形でハナを切る予想外の展開となったが、前半1000m通過60秒4のラップは明らかなスローペース。ただ、終始ジナンボーに絡まれる形での逃げは、数字以上にキツいものであったろう。加えて、自らが後続の目標とされたとあっては、仕方のない結果だったか。

 ラッキーライラックは、前2頭とは離れた位置での3番手。外を併走していた2着馬が勝負どころで先に動いたのに対し、直線を向いてスペースが開くまでインでジッと我慢していたことで、一気に抜け出すことができた。久々の前走を叩いて状態もグンと良くなっていたが、文句の付けようがないレースぶりで、素直に強かったと言える。

ラッキーライラック

5歳牝馬ラッキーライラック(黄帽)がGI3勝目をあげた(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着クロノジェネシスは、勝ち馬とほぼ同じポジションで、これまた完璧なレース運びができたが、自身が勝負どころで先に動いて先行2頭の外へ進路を取ったのに対し、勝ち馬が間を割ってきた分の差とも言える。ただ、今後も牡馬相手のGIでかなりの活躍が見込めるだろう。

 3着ダノンキングリーは、前述したように数字以上に厳しい逃げとなったことは確かだが、牝馬2頭に追い負けたという点では、2000mが微妙に長い可能性もある。

 4着カデナは、4コーナーでは最後方の位置取りだったが、内をスクって目立つ伸び脚を見せたもの。これまで主に2000m以下で使われているが、今日の走りを見るともう少し距離が延びてもいいのではないかと思えた。

 5着ワグネリアンは、もう1列前で運びたかったとは思うが、直線でもロスなく内を立ち回りながら伸び負けたあたり、現状でのこの馬の力を示す結果だったか。

 ブラストワンピースは、スタート後に狙ったポジションが取れず後方から運ぶ形となり、勝負どころからは外を回ってマクリ気味の進出。格下相手にはそれで捻じ伏せることができたとしても、GIの舞台ではさすがに無理のある競馬だった。札幌記念を勝っているとはいえ、時計を要す洋芝への適性があったまでの話で、基本的に小回りの2000mが合う馬ではない。昨年もそういう印象を与えながら、もう一度使ってきたこと自体が間違いだったかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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