「ほとんど記憶にない光景」 5着スカイグルーヴの末脚にも影響?

佐藤直文 レース回顧
フローラS

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父の背を見ながら完璧な騎乗 横山武史&ウインマリリン

 TVの画面でも確認できたと思うが、強風によりダートコースから巻き上げられた砂が霞のように直線を覆うシーン。長くこの仕事に携わっているが、ほとんど記憶にない光景であった。その影響を各馬が均等に受けたことは確かだが、特に直線での向かい風は、最後に脚を使う馬にとっては厳しい条件だったと言っていいだろう。

 ウインマリリンは、2番手で運んだ父の騎乗馬の直後という絶好のポジションだったが、前半1000m58秒6の淀みないペースでも、巧く流れに乗れていた。直線を向いても慌てることなく、父の外へ持ち出して仕掛けどころもバッチリ。横山武騎手の完璧な騎乗が勝利を導いたと言える。前走は仕切り直しの火曜競馬で少し重目残りだったが、今日はそこからキッチリと絞れて、デキ自体も完璧だった。ただ、距離は2000mがギリギリの印象も受けるだけに、本番のオークスではあと400mをどう誤魔化すか、もうワンランク上の騎乗技術が必要かもしれない。

ウインマリリン

向かい風と追撃を凌いだ横山武ウインマリリン(黒帽)が初重賞V(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ホウオウピースフルは、勝ち馬とはほぼ同じような道中の位置取り。少し直線で追い出しを待たされたと見る向きもあるだろうが、前を捉えられなかったのは勝ち馬の渋太さを褒めるべきであり、これまたレーン騎手も完璧な騎乗だったように思う。距離が延びて更に、という感を受けるだけに、本番での期待はこちらの方が上かもしれない。

 3着フアナは、外枠から巧く内に潜り込んでの直線勝負だったが、追われて少しフラフラしたあたり、まだ気性の若さを残す走りだった。ただ、未勝利を勝ったばかりのキャリア3戦目でこれだけ走れば、先々が楽しみであろう。

 5着スカイグルーヴは、意欲的な調教を消化して少し細く映るくらいの仕上げだったのに加え、前述したように向かい風の影響もあったか。その分を考慮しても物足りない走りからは、人気ほど能力が抜けていなかったとも言えるかもしれない。

 レッドルレーヴも、期待を裏切る走りだったが、1・2着馬とほぼ同じ位置取りでも、持って行かれ気味の追走だったあたり、もうワンランクの気性の成長が待たれるところだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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