ケレン味のない逃げ 越後制圧ケンシンコウが裏付けたもの

佐藤直文 レース回顧
レパードS

最後は突き放してのレコードV ケンシンコウ

 昨年までの過去10年の勝ち馬を見ると、前走ジャパンダートダービー組が5頭、そしてユニコーンS組が3頭。条件戦を勝ち上がってまだ底を見せていない馬の参戦も多いが、やはりハイレベルな戦いは馬を強くするものであり、今年もまたそれを裏付ける結果となった。

 ケンシンコウは、スタート直後は外の馬の出方を窺っていたが、行きっぷりが良かったこともあって1コーナー過ぎからハナに立つ形。行った者勝ちの高速ダートであったにしろ、逃げて直線でも後続を突き放してのレコード勝ちには恐れ入った。中間の坂路での動きも力強く、まさにユニコーンSの経験を糧として強くなったと言えるだろう。気性的に難しい面があったことと、ここ2走が控える競馬で結果を出していたために、印は回せなかったが、ハナへ行って勝たれたこと自体は十分に納得できる。

ケンシンコウ

7番人気ケンシンコウが2馬身半差で逃げ切りV

 2着ミヤジコクオウは、速い流れでの追走にも対応し、上がり3ハロンは最速をマーク。前走のジャパンダートダービーでは人気を裏切る形となったが、ナイターや馬場などの環境に対応できなかっただけであり、世代ダートのトップレベルの力は改めて示したと言える。

 3着ブランクチェックは、好位から上手な立ち回りを見せていたが、最後は経験の差も出たか。距離も現状では微妙に長かった感を受けた。

 4着デュードヴァンは、新潟コースを意識してか、いつもよりも前目で運んでいたが、結果的には脚を溜められなかったか。もう少しメリハリの利いた競馬が理想だろう。

 5着ニュートンテソーロは、後方から直線でよく差を詰めており、ブリンカーの効果はあった。自己条件なら勝ち負けのレベルだろう。

 ラインベックは、ハナへ行く気もなく好位で控える形だったが、それでも少しオーバーペース気味で、流れ込んだだけだった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。