3着ラッキーライラックの敗因は? 札幌競馬場では「難しい」

佐藤直文 レース回顧
札幌記念

秋は姉妹対決も楽しみに ノームコア

 “いつもと違う夏”は、何も無人のスタンドだけではない。今年の北海道シリーズでは、新型コロナ感染症対策として調教施設としての函館競馬場、いわゆる“裏函”が閉鎖されている。ウッドコースのある函館とは違い、芝とダートのみの札幌競馬場では調整そのものが難しく、例年よりも淋しい12頭立てとなったのも、そのためと見ていいだろう。そしてまた、その調整の難しさが結果にも微妙に影響を与えた感を受けた。

 ノームコアは、道中は中団のインでロスなく乗られ、4コーナーでスムーズに馬群の外目に持ち出されると、一気に突き抜けての完勝。おそらく鞍上も思い描いた通りの最高のレースができたように思う。初の洋芝が鍵ではあったが、そこはハービンジャー産駒。2000mの距離にも対応できたことで、秋は妹クロノジェネシスとともに大きいところを狙えるはずだ。

 2着ペルシアンナイトは、内枠で出負けして後方から運ぶ競馬となったが、結果的には十分に脚を溜めることができ、直線では勝ち馬の後を追うように力強い伸びを見せた。今ならマイルよりも2000mの方がいい印象も受けたが、前走の惨敗から陣営がよくここまで立て直してきたと思う。

 3着ラッキーライラックは、前半1000m60秒3という緩めのペースを2番手から。直線を向いたところでは一旦抜け出し、自分の競馬はできたように思う。ただ、帰厩後は栗東滞在時を含めて速い時計が3本だけで、しかも最終追いは札幌の芝だったこともあり、良くて8分程度のデキだったか。秋に向けてはもうワンランクの状態アップが不可欠だろう。

 4着ポンデザールは、長めの距離を使われてきたせいか、今日の緩いペースでも勝負どことろで手応えが一息だったが、上位3頭のGI馬に次いでの入線は、札幌コースの適性を改めて示すとともに、重賞でもやれる力を付けてきたと言える。札幌以外でも、少し時計のかかる阪神あたりの長丁場は合うかもしれない。

 トーセンスーリヤは、もっとやれるかの期待もあったが、今日の結果からはまだ力不足と見るべきだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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