なぜ大噴火アサマノイタズラ なぜ敗れたタイトルホルダー

佐藤直文 レース回顧
セントライト記念

展開もドンピシャにハマって アサマノイタズラ

 前々で運びたい馬が多かったこともあってか、前半1000mが60秒5という淀みない流れにもかからわず、上位集団がひと塊りという展開。加えて、勝負どころから2着馬が外を回って進出したことで、好位勢は余計に厳しい競馬を強いられ、本来は有利なインのポジションも4コーナーでは大渋滞となった。

 アサマノイタズラは、そんな展開の中で序盤は馬群から離れたポジションでの待機策。勝負どころから前との差は詰めたものの、まだ最後方に近い位置取りで直線を迎え、ゴチャ付く馬群の外へスッと持ち出すと、先に抜け出していた2着馬を鮮やかに差し切ってみせた。流れも向いたことは確かだが、これがテン乗りとは思えないほどの田辺騎手の好騎乗を褒めるべきだろう。この中山2200mは4走前の1勝クラスで4着に敗れているものの、当時はスムーズな競馬ができずに脚を余したものであり、この舞台自体は最も合っていると思えるほど強い内容だった。

アサマノイタズラ

9番人気アサマノイタズラが外からソーヴァリアントを差し切りV

 2着ソーヴァリアントは、勝負どころから動いて直線で一旦は完全に抜け出したもので、勝ち馬に目標にされた分と言って良く、まさに負けて強し。惜しむらくは序盤で折り合いを欠いた点だろうが、オルフェーヴル産駒なら許容範囲と言えるものだったか。夏の勢いをそのまま結果に結び付けた上々の内容だった。

 3着オーソクレースは、上位集団の中で一番スムーズな競馬ができたが、最後は久々の分。能力は十分に示す走りで、叩いた次が楽しみになった。

 グラティアスは、外枠もあってか少し掛かり気味での先行だったとはいえ、直線で追われて思いのほか伸びなかった。仕上り云々ではなく成長度が一息だったと見るべきか。タイトルホルダーは、手応えを十分に残して直線を向いたが、直線で前をカットされた上にゴチャついて全く力を発揮できなかったもの。参考外と見ていいが、弥生賞や皐月賞のようなスムーズに先行して4角先頭のパターンが理想の馬かもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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