7歳馬ディサイファが、目下の充実ぶりを示す完勝劇

佐藤直文 レース回顧
アメリカJCC

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衰え知らずの横綱相撲 ディサイファ

 全国的に寒波が襲来し、首都圏でも雪の可能性があった先週末。中山のアメリカJCCも前売発売が中止される措置が取られたが、蓋を明ければ土曜の夕方にお湿り程度の雨で済んだ。九州や四国などで記録的な大雪が降った中、京都も中京も無事に開催ができて何よりだった。

 年明けから中山金杯、フェアリーS、そして京成杯と、中山の重賞は判で捺したようなスローペースが続いていたが、アメリカJCCは、前半1000mが60秒8と意外に淀みのない流れとなった。馬場コンディション自体も良かっただけに、このペースでは地力勝負となって当然であり、上位は久々に差し馬が占める決着となった。

 ディサイファは、中団前目の絶好位で巧く抑えが効いていた。勝負どころから余裕の手応えでポジションを上げ、4角では先団の外へ持ち出して楽に抜け出す完勝劇。正直、1ハロン長いのではないかという印象を受けていたが、こういう乗られ方なら距離も問題なかった。プラス12キロの体も太くは見えず、目下の充実ぶりを示す数字と言える。高齢馬の激走例が多いレースだが、2着馬ともども7歳とはいえ、これまで大事に使われてきた馬であり、今後も期待できるだろう。

ディサイファ

7歳馬ディサイファが重賞4勝目をあげた(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着スーパームーンも、道中は勝ち馬とほぼ同じ位置取りで巧く流れに乗れていた。勝負どころで少しエンジンのかかりが遅れ、4角では大外を回る形となったが、直線では渋太く脚を伸ばしたもの。距離は前走の2000mよりもこのくらいあった方がいい馬であり、今後も条件さえ合えば、重賞戦線でも目が離せない。

 3着ショウナンバッハは、直線の短い中山ではどうか、と思えたが、勝負どころでは内目を進んでポジションを上げ、直線でも外へ出さずに馬群を割る形での好騎乗。立て直されて状態も良く、自分の形でよく脚を使っていた。東京や新潟の2000m前後であれば、いつでも重賞に手が届く馬だろう。

 4着マイネルフロストは、前走とは一転して控える形。いろいろな競馬ができることを改めて示したが、最後の2着争いではキレ負けしたように、このメンバーではもうワンパンチ足りないか。

 5着ヤマニンボワラクテは、まだ準オープンを勝ったばかりの身で、これまたワンパンチ足りなかったが、控えて差す形の競馬ができたことは大きな収穫だろう。今後も強敵相手にキャリアを積んで行けば、どこかでチャンスが訪れるはずだ。

 逃げ宣言のスズカデヴィアスは、終始突かれる形で息が入らなかった。それでもコンマ5秒差6着なら、マイペースで運べていたら残り目もあったろう。1番人気サトノラーゼンは、ジョッキーの判断だったのか陣営からの指示だったのかはわからないが、出して行って持ってかれ気味になったのが全てであり、作戦が裏目に出たと言える。ただ、それにしても負け過ぎであり、馬もデキていなかったか。立て直しが必要だろう。ライズトゥフェイムは、道中の位置取りや流れを考えれば、ハマっておかしくはなかったが、勝負どころから外を回って追い上げながら、直線では全く伸びず。これまた負け過ぎだが、前走のように一瞬のキレ味で勝負するタイプなのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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