すべて“絶好”ジオグリフ 武豊ドウデュース「決め打ち」3着で開けた視界

佐藤直文 レース回顧
皐月賞

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群雄割拠の大混戦で 追い風が吹いたジオグリフ

 芝は午前中の稍重から午後になって良馬場へと回復したものの、急速に馬場が乾いて内から回復するパターンではなく、内が緩めのままで直線でのヴィクトリーロードは馬場の中ほどから外という状態。有力馬のジョッキーたちのポジション取りからも、その意識が十分に感じ取れたが、やはり枠順の差は大きかったと言える結果となった。

 ジオグリフは、スタートを決めて好位の外目という絶好のポジション。少し力んでいた2着馬を巧く利用してその直後に収まり、仕掛けのタイミングも完璧だったと言える。パドックでも絶好の気配だったように、状態面でも申し分なかったが、少し時計のかかる馬場もまた追い風となったはずであり、枠順も含めて全ての面が噛み合っての勝利だった。

ジオグリフ

福永の手綱捌きも光った5番人気ジオグリフが混戦を断ち優勝

 2着イクイノックスは、パドックから力みが見られていたが、大外枠からポジションを取りに行かざるを得ず、折り合いを欠いてしまったのと、やはり5ヶ月ぶりだった分、最後に苦しくなって内へモタれてしまったもの。ただ、この競馬で2着なら現時点でのダービー最有力候補であることに疑いの余地はない。

 3着ドウデュースは、テンから控える決め打ちの競馬で、直線では他馬と一線を画す伸び脚。もう少しペースが流れていれば前を捉えることもできた可能性はあるが、こういう落ち着いた競馬ができるのであれば、距離への不安もないはずで、2400mまでなら十分にこなせるだろう。

 4着ダノンベルーガは、位置取り自体は理想的だったが、流れが落ち着いたことで外へ持ち出せる機会がなく、直線でも内の進路を選択するしかなかった。それでいてこの着順と着差なら、けっして能力の差はないことを示したと言えよう。

 5着アスクビクターモアは、馬場の緩い内を開けてのマイペースの逃げは、結果的には後続も楽ができたことで決め手に屈してしまったが、逃げたこと自体はこの枠では最善策だったかもしれない。

 キラーアビリティは、立ち遅れ気味のスタートで枠なりに内からポジションを上げるしかなかったが、勝負どころから外へ出せるほど手応えに余裕がなかったあたり、状態面も伴っていなかったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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