カラ馬で“誤算”も最後は… タイトルホルダーが「見せ付けた」凄み

佐藤直文 レース回顧
天皇賞(春)

想像以上の強さで タイトルホルダーが長距離界を制圧

 菊花賞でのタイトルホルダーは、前半1000mを60秒0という平均以上のペースで後続を離し、その後に大きくペースダウンして8ハロン目には14秒台のラップを刻んだもの。ここで前半の貯金を生かして十分に息を入れ、後半の再加速で後続を突き放した形だったが、鞍上こそ違ってもおそらくレースプランに大きな違いはなかったはずだ。

 今回もまた前半1000mを60秒5という馬場差を考慮すれば菊花賞並みの入りだったタイトルホルダーに、僅かな誤算が生じたのは、ペースを落としたところでカラ馬のシルヴァーソニックに突かれる形となって、菊花賞当時のような大幅なペースダウンができなかったことだろう。ただ、そんなことも意に介さず、後半の再加速で終わって見れば2着に菊花賞以上の7馬身差を付けたのだから、真のステイヤーとしての凄味を見せ付けたと言えよう。予想した通りの逃げ切りではあったが、その強さは想像以上のものだった。

タイトルホルダー

横山和騎手を背にしたタイトルホルダーが最後は7馬身差で圧勝

 2着ディープボンドは、大外枠から出して行って好位をキープ。いつでも動いて行ける態勢は作ったが、勝ち馬が11秒台にラップを上げた残り4ハロンからは付いて行けなくなってしまった。それでもゴール前で3着馬を交わしたあたり、地力の高さは改めて示した形だ。

 3着テーオーロイヤルは、勝ち馬のペースアップにもよく食い下がり、直線入り口では直後まで迫って見せたが、最後は力尽きてしまったもの。勝負を挑んでの結果だけに仕方はなく、立派な走りだったと言える。

 4着ヒートオンビートは、勝負どころで動いて行くことができなかったが、最後はよく差を詰めてステイヤーとしての資質は示した。5歳馬だが、この先まだチャンスはあるはずだ。

 5着アイアンバローズは、道中はいい位置で運べていたものの、勝負どころで上位に付けられた差を挽回できなかったもの。もう少し積極的に動いて行けるようにならないと、今日のメンバーでは辛いと言わざるを得ない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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