【秋華賞回顧】三冠「届かなかった」スターズオンアース “秋に大輪”スタニングローズ

佐藤直文 レース回顧
秋華賞

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薔薇一族が三冠阻止 スタニングローズ

 着順こそ違え、オークスの上位3頭での決着は、結果的に春の勢力図が塗り替えられなかったということになるが、脅かす存在が出てこなかった以上に、上位3頭もしっかりと成長していた事実を示すものだろう。史上7頭目の牝馬三冠達成こそならなかったものの、この上位3頭は今後の牝馬路線も切磋琢磨しながら牽引することだろう。

 スタニングローズは、オークス同様にスッと好位に取り付く操縦性の高さを見せて流れに乗る形。前を行く5着馬を巧く目標として使い、直線では今までにない伸びを見せてライバルの追撃を凌ぎ切った。馬体重はプラス14キロだった紫苑S時から変わらなかったが、この増加は成長分だったものであり、ラストの伸びがそれを物語っていた。薔薇一族としては牝馬初めてのGI制覇となったわけだが、さらに血を広げる意味でも大きな勝利だろう。

スタニングローズ

牝馬三冠ファイナルマッチは“薔薇一族”スタニングローズ(中央青帽)が制した

 2着ナミュールは、オークスからの20キロ増も太目感はなく、これまたほとんどが成長分だったか。勝ち馬を前に見ながら、これまた理想的な競馬ができたが、勝負どころで外へモタれ加減となってしまったあたりが、久々の影響と言えるかもしれない。

 3着スターズオンアースは、そこまで大きく出遅れたわけではなかったが、行き脚が付かなかったために鞍上も無理できず後方からのポジションに。直線では進路を探しながら馬群を縫って前に迫ったが届かなかったもの。三冠は達成できなかったが、二冠馬の底力は十分に示す走りだった。

 4着メモリーレゾンも、3着から2馬身の水は開けられたとはいえ、前走ローズSの勝ち馬をゴール寸前で捉えたのは、今後に繋がる走りだったろう。

 5着アートハウスは、序盤は気負いも見えたが正攻法での自分の競馬。ただ、直線で勝ち馬に並びかけられたところで余力がなかったあたりに、上位3頭との力の差を感じた。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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