ストレイトガールとヌーヴォレコルト 勝敗を分けたのはハイペースの経験値

【佐藤直文 先週のレース回顧】
これまで数々の波乱が生まれてきたヴィクトリアマイルだが、今年もレース史上のみならず、多くの配当金レコードが生まれた大波乱で幕を閉じた。

佐藤直文 レース回顧
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激流の経験生きた ストレイトガール 【ヴィクトリアマイル】

 大外枠からスタートを決めてハナへ行ったのは単勝最低人気のミナレット。最初の3ハロンこそ34秒3と“少し速め”程度だったが、そこから11秒台前半のラップを刻み、4ハロン45秒5、5ハロン56秒9と、レース史上最速のラップライム。4コーナーでは、大きく離れた2番手が12番人気のケイアイエレガントで、さらに単独の3番手に上がっていたのが15番人気のリトルゲルダ。後続の有力馬に騎乗していたジョッキーにしてみれば、さほどの強敵とは思えない馬であり、自ら動いて掴まえに行かなくても、勝手に止まるだろうとの思いがあったはずだ。

 しかしながら、今週からBコースへ変更されたこともあり、さほど内目が荒れていない馬場。これほどのペースを刻んだミナレットが上がり3ハロンを35秒3でまとめたのなら、後方からの差しはまず不可能と言って良かった。

 思わぬ展開に対応できなかった馬が多かった中で、離れていたとはいえ好位で運べたストレイトガールには、スプリント戦で再三の激流を経験してきた強味が生きたと言えよう。道中5番手で、上がり3ハロンがメンバー2番目の33秒0というのも、この馬が最大に能力を発揮できたことの証明だ。

 2着ケイアイエレガントも、前半の貯金を生かして最後まで抵抗した立派な内容。実質、逃げているのと同じ形で気分良く運べたことが、大金星寸前の走りを生んだと言える。

 そして、前述したように最低人気だった3着ミナレットも、とにかく気分良く走っていた。不利な大外枠であったことも考慮すれば、終い歩かずに粘り切った“強さ”を評価していいだろう。

 4着レッドリヴェール、5着カフェブリリアントはともに巧く立ち回ったものだったが、現状での力の差と言えるだろう。

 断然人気のヌーヴォレコルトは、勝ち馬の直後の位置取りだったにもかかわらず、弾けなかったもの。想定していたよりも速い流れで、脚が溜まらなかったか。ディアドラマドレも、いつもよりは前で運んで直線に賭けたが、上がり最速でも7着が精一杯の流れだった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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