【高松宮記念回顧】“順当な結果”もアタマ差の明暗 10着ルガルは「人気ほどの存在では」

佐藤直文 レース回顧
高松宮記念

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ハナ差で逃したタイトルを マッドクールがアタマ差でリベンジ

 今年もまた雨に祟られて、5年連続となる道悪での施行。香港馬や力を付けてきた4歳勢の存在があったとはいえ、基本的に昨秋のスプリンターズS当時から勢力図に大きな変化がなかったと言えそうだ。そこに枠順や馬場適性などの要素が加わっての、ある意味では順当な結果だったかもしれない。

 マッドクールは、前半3ハロンが馬場状態を考慮しても遅めだった34秒9の流れを、3番手のインという絶好位からの競馬。4コーナーでは多くの馬が馬場の中から外へ進路を取ったのに対し、好位勢では唯一そのまま内を選択して抜け出し、2着馬の猛追をアタマ差凌いだところがゴールだった。プラス18キロの馬体は回復分もあっての好仕上りで、道悪も大きなプラス要因。ハナ差に泣いたスプリンターズSから鮮やかなリベンジを果たした。

マッドクール

猛追のナムラクレア(手前)を僅かに押さえたマッドクール(奥)がGI戴冠

 2着ナムラクレアもまた、枠なりに内をロスなく立ち回り、直線でもラチ沿いから脚を伸ばしたもの。惜しむらくはもう少し前のポジションで、そしてもうワンテンポ早く仕掛けられていたら、捉え切ることも可能だったろう。

 3着ビクターザウィナーは、左回りがいいという陣営のコメント通りの走り。改めて香港馬のレベルの高さを示したと言えるが、良馬場だったならもっと際どい勝負に持ち込んでいたかもしれない。

 4着ウインカーネリアンは、初の1200mでも思い通りのポジションで運べていた。7歳馬だが今度の選択肢も広がったと言える。

 5着ロータスランドは、もう少しペースが流れて欲しかったところだが、さらにワンランク馬場が悪化していれば着順を上げたかもしれない。

 トウシンマカオは、デキは良く見えたが、左回りの中京では今ひとつ弾けない馬。右回りで見直したいところだ。ママコチャは、4コーナーまでは理想的な運びだったが、直線で追われて伸びを欠いたあたり、道悪が合わなかったと見るべきだ。ルガルも、前を射程に置いたポジションで運べていたが、追われてサッパリ。58キロの斤量、直線に坂のあるコースも初めてだったことを考えれば、人気ほど抜けた存在ではなかったことも確かだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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