逃げて1分50秒切りは優秀 トラストがオーナーの悲願へ確かな一歩

佐藤直文 レース回顧
札幌2歳S

オーナーの悲願達成へ トラストが北の地から確かな一歩

 距離が1800mへと延長された1997年以降、2000年のジャングルポケット、2005年のロジユニヴァースと、勝ち馬から2頭のダービー馬が誕生している札幌2歳Sだが、今年の勝ち馬は英国ダービーへの登録を済ませているとのこと。一昔前では考えられなかったことではあるが、米三冠に挑戦したラニのように、日本馬が早い時期から世界を意識する時代になっていることは確かだ。

 そのトラスト。前走のクローバー賞では気性的な若さを見せた走りだったが、芝も2戦目、滞在での調整で環境にも慣れたこと、そして何より好発を決めて思い切って逃げたことが大きな勝因と言える。他の有力馬の凡走もあったとはいえ、逃げて1分50秒を切ったことは立派。今後は中央に転厩して来春のダービーを目指すとのことで、英ダービー挑戦は夢物語となりそうだが、まずは国内で岡田繁幸オーナーの悲願が叶うのか注目したい。

 2着ブラックオニキスは、前走でトラストを負かしていた、中央馬でメンバー唯一の2勝馬。それで馬連が1万8千円台というのは、これまでも馬券になることが少なかったクローバー賞組が軽視されていたためだろうが、前走同様にうまく流れに乗れて距離も克服できたと言える。不利な大外枠、最後に間を割って伸びた勝負根性からも、牝馬同士の戦いになれば今後もチャンスがありそうだ。

 3着アドマイヤウイナーは、枠なりに外を回りながら流れに乗ってはいたが、最後も伸び負けており、普通に回ってきただけという印象を受けた。いずれにしろ、まだこれからの馬だろう。

 4着エトルディーニュは、直線半ばで一旦2番手と、見せ場十分の競馬。自分の時計だけはしっかりと駆けていた。

 5着フラワープレミアは、ゴール前で少し狭くなるシーンもあり、2着以下ともそう差はなかった。ただ、この程度で入着できたこと自体、他の人気馬が走らなさ過ぎたとも言える。

 その走らなかった馬たち。1番人気に支持されたタガノアシュラは、出遅れた上に序盤で口向きが悪くフラフラした走り。後方から大外を回って追い上げて止まってしまったディープウォーリアにも言えることだが、初戦は素質だけで勝ったものであり、まだまだ気性面での成長が必要だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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