菊に向けて、ディーマジェスティが世代トップレベルを証明

佐藤直文 レース回顧
セントライト記念

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ダービー馬不在の秋に ディーマジェスティが威厳を保つ

 春の実績馬VS新興勢力、という図式で語られることの多いレースだが、近年は春の実績馬が圧倒している印象。過去5年で4勝、2着3回、3着2回と、ダービー組が多数馬券になっている。一方で、1番人気馬の信頼度が一息という傾向もあり、必ずしも春の実績通りの結果とはならない一戦だ。ただ、単勝1.4倍の大本命馬にとっては、それも杞憂に過ぎなかったか。

 ディーマジェスティは、序盤は後方でジックリと構え、勝負どころから外を回って進出。早目に抜け出して後続の追撃を凌ぐ、というのはいい勝ち方であり、着差は僅かでも内容的には完勝だったが、そもそも前哨戦はちぎって勝つことに何の意義はない。思えば、ダービーは皐月賞後に疲れが出て順調さを欠き、何とか間に合ったという状態での出走。それでいてマカヒキにコンマ1秒差、直線で寄られる不利がなければ2着もあったかという内容は、まさに世代トップレベルの実力を示すものであった。マカヒキ不在のこの秋、主役は譲れないだろう。

ディーマジェスティ

皐月賞馬ディーマジェスティ(青帽)が貫禄勝ち(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ゼーヴィントは、自在に動ける強味を見せ、好位をロスなく立ち回り、最後も内から伸びてクビ差に食い下がった。ラジオNIKKEI賞勝ちでも青葉賞&ダービー組より下と見て評価を下げていたが、これは力を付けている。

 3着プロディガルサンは、勝ち馬をマークする形で運び、直線でも一旦は交わすかの勢い。勝ちに行ったレースぶりは評価できるし、春からの成長を示したと言える。

 4着ネイチャーレットは、道中シンガリから直線で巧みに馬群を捌いて見せ場十分の内容。ここでは敷居が高いかとも思えたが、完全に軌道に乗ってきた感を受け、自己条件に戻ればアッサリの可能性もある。

 5着ノーブルマーズは、勝負どころからの手応えの割りには、渋太く粘って掲示板を確保。これまた、自己条件に戻れば力上位の存在となるだろう。

 メートルダールは勝負どころで動けず、位置取りが悪くなった。怪我から復帰したばかりの鞍上にもまだ勝負勘が戻っていなかったか。マウントロブソンは、明らかな急仕上げ。その分、本番でかなりの上積みが期待できそうだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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