最高の前哨戦シンハライト 11着ジュエラーは距離不安?

佐藤直文 レース回顧
ローズS

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相手こそ違ったが またもハナ差でシンハライトが本番へ

 本番の秋華賞を待たずして実現した、桜花賞馬とオークス馬の激突。残念ながら、舞台は折からの雨で道悪となってしまったが、重発表でも内が伸びない馬場ではなかったし、1分46秒台の決着だったことを考えても、そう悪い馬場ではなかったように思えた。ライバル2頭は、これまで2戦のハナ差から一転した決着となったが、勝負の明暗を分けたのは、馬場だけの問題ではなかった。

 シンハライトは、自分の競馬に徹したものであり、ハナ差勝ちでも何の文句も付けようがない。これまた前哨戦はちぎって勝つことに何の意義はなく、流石と言える内容だった。本番は内回りコースが舞台となるが、そのぶん展開も流れるのが常でもあり、同じ競馬になってもきっちりと前を捉えることができるはず。本番へ向けての前哨戦としては最高の形だったように思える。

シンハライト

ゴール前キッチリと前を捉えたシンハライト(青帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着クロコスミアは、うまく流れに乗ってアワヤのシーンを演出したもの。逃げた馬が残る決着が続いていた馬場を考えた鞍上の好プレーとも言えたが、春はおそらく体調も伴わなかったのだろう。プラス体重で成長を示し、自在性も見せたのであれば、本番でも期待が持てる。

 3着カイザーバルも、うまく流れに乗って運んでの権利獲得。内目の枠も良かったと言えるが、これまた自在性を示したことで、本番でも軽くは扱えない。

 4着デンコウアンジュは、流れや馬場を考えれば、今までとは違う中団で流れに乗る形が正解だったのかもしれないが、本来はジックリ運ぶ形の方がいいと思える馬。前述したように、流れが確実に速くなる本番は、自分の競馬に徹すればチャンスがあるはずだ。

 5着アットザシーサイドは、2・3着馬と同様に2番手で流れに乗れていたが、伸び一息。春の実績からはもっと走っていいはずの馬であり、オークスの内容を考えても、距離に壁があるかもしれない。

 ジュエラーは、スタートが良すぎて持っていかれた感を受けた。骨折明けで本番への一叩き、ということを考えれば悲観すべき負けではないかもしれないが、前述したようにそれほど馬場は悪くはなく、ここまで負けたのには陣営が敗因を馬場に求めた以上のものがあるのではないか。オークスを使っていないので何とも言えないが、新馬勝ちが1800m戦ではあっても、ひょっとして距離延長がプラスではない馬かもしれない。本番はそういったことが杞憂に終わるような、再度の接戦を見たいことは確かだが…。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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