“キセキ系”が強いレースで父子制覇 シュウジはマイルまでもつ馬

佐藤直文 レース回顧
阪神カップ

キセキの血が沸き躍り 明るい未来へシュウジが突き進む

 過去10回と歴史の浅い重賞ながら、2009年以降、キンシャサノキセキ、サンカルロ、リアルインパクトと、関東馬が2連覇を果たし続けているレース。その流れでいけば、当然、昨年の勝ち馬である関東馬のロサギガンティアに期待も集まったが、そうは問屋が卸さなかった。ただ、勝ったのは、連覇実績のあるキンシャサノキセキ産駒で、2着馬もキンシャサノキセキの父であるフジキセキの産駒。この血統が強いレースだということは、来年の検討の際にも記憶しておきたい。

 シュウジは、枠なりに道中はインをロスなく運んで、直線を向いて馬場のいい外目へ持ち出すという、理想的なレース運び。古馬との戦いになってからは1200mを使われてきたが、実績が示す通り、距離はマイルまでもつ馬であり、課題であった気難しさも見せなかった今日のレースぶりから、来年は活躍の場も増すはずだ。

シュウジ

理想的なレース運びで重賞2勝目をあげたシュウジ(白帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着イスラボニータは、この距離としてはスローな流れだったこともあるが、初距離ながらスッと2番手に上がっての大名マークができたという点で、血統的な距離適性があったと判断できるが、今日はあくまでも逃げたミッキーアイルが目標のレースであり、これで差されたのは仕方がない。ただ、これまた来年以降は活躍の場が広がるのではないか。

 3着フィエロは、ペースの遅さに対応していつもより前目で運んだのは鞍上の好判断。直線では外から一旦は前を捻じ伏せる勢いで伸びたが、最後は伸び負けてしまった。ただ、7歳という年齢を考えれば、これがMAXの力と思える。

 4着ダンスディレクターは、これまたイメージよりは前で運んだ形だったが、今一つ伸び切れなかった。やはり、この馬はジックリ行かないと、持ち前のキレ味が鈍るタイプだろう。

 5着ロサギガンティアは、上位4頭が道中6番手以内の馬であり、その一列後ろからでは届かない流れだったか。もっとペースが上がって欲しかったところだが、レースの流れ自体にはスムーズに乗れており、内容的には悪くはなかった。

 ミッキーアイルは、注文通りハナに行って、気分良く走れていた割には案外の結果だったが、直線で内ラチ沿いが伸びない馬場だったのに加え、やはり上がり勝負ではキレ負けする馬。もっとハイラップで飛ばして、後続に脚を使わせる必要があったのではないか。この馬を知り尽くしている鞍上だけに、余計残念な騎乗だったように思える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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