距離も全く問題なし やっぱり強かった女王ソウルスターリング

佐藤直文 レース回顧
オークス

理想のポジションから完勝 ソウルスターリング

 雨の影響を受けた先週の馬場とは打って変わって、東京芝はパンパンの良馬場に。土曜の段階から直線で外からの差しが全く決まらず、イン有利、先行有利の状況が続いていた。そんな中、前半の1000mが61秒7のスローペース、そしてラスト1000mが57秒8という極端に速い数字で、なおかつレース史上2番目の高速決着だったのなら、後方待機組には無理な流れだったと言える。

 ソウルスターリングは、抜群のスタートセンスを見せて何の苦労もなく好位へ。桜花賞は外枠もあったが、大トビだけにやはり道悪が応えて理想のポジションが取れなかったのだろう。直線では外から来るライバルたちを意識して馬場の中ほどへ持ち出したが、結局のところ何も来ず、内から迫った2着馬をラスト100mで突き放したあたり、距離も全く問題のない強い勝ちっぷりだった。母の背で仏オークスを制していたルメール騎手にとっても格別の勝利となったろうが、秋以降は世代や牝馬の枠にとどまらない活躍を期待していいはずだ。

ソウルスターリング

桜花賞の雪辱を果たしたソウルスターリング(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着モズカッチャンは、前走のフローラS同様に最内枠を引いて、レース運びもほとんど同じ完璧な競馬。残り1ハロンでは内をすくって抜け出すかというシーンもあり、実際に3着には2馬身半もの水を開けたのだから、相手が悪かっただけで、普通の年のレベルなら勝っていただろう。

 3着アドマイヤミヤビは、前述した外からの差しが決まらない馬場を思えば、よく走っており、それはそれで力を示したと言える。もうワンランクの成長も見込める秋の巻き返しに期待したい。

 4着ディアドラも、後方からの厳しい位置取りだったが、道中も含めて内で全くロスなく運べたことで、現状の能力以上の結果をもたらした印象。

 5着リスグラシューは、自分の競馬に徹したものの、これまた馬場も展開も向かなかった。ただ、秋に向けては馬体も含めてもっと成長が欲しいところだ。

 レーヌミノルは、枠なりに外を回る形とはいえ、勝ち馬を見ながら好位で運べていた。それで全く伸びなかったのは距離、と見ていいだろうが、速い上がりが求められる競馬にも対応できなかったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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