臨機応変のルメールマジックで レイデオロが7015頭の頂点へ
馬と人との信頼関係が結実 レイデオロ
前半1000mは63秒2という戦前から予想されていた以上の超スローで、2コーナーを回ってレイデオロが一気に仕掛け、それに追随するかのようにペルシアンナイトが、そしてその動きを見て最後方に近い位置にいたアドミラブルもスッとポジションを上げた。奇しくも現在のリーディング上位3人の騎手が、機を見るに敏とばかりに動いたわけだ。先週のオークスが2分24秒1、同日の古馬1000万特別が2分23秒8という、目下の東京の高速馬場において、2分26秒9の決着は、凡戦と見る向きもあろう。しかしながら、逃げた馬以外に掲示板を占めたのは上位4番人気までの馬であり、トップジョッキーの駆け引きの妙も含めて見応えのある好レースだったように思う。
レイデオロは、結果的に大正解だった2コーナーからの仕掛けだが、道中で脚を使うことのリスクも当然ある。人気薄の馬ならともかく、これを単勝2番人気の馬でやってのけたルメール騎手の臨機応変な騎乗ぶりは見事というしかない。もちろん、馬にも自在性があるからできたことだが、デビューから手綱を取り続けたことにより、そういった馬と人との信頼関係が築き上げられていたのだろう。先に脚を使って目標となりながら、一旦は並びかけた2着馬を突き放しての勝利は、紛れもなく強い競馬であった。
2着スワーヴリチャードは、枠なりに道中はインで脚を溜め、4コーナーでうまく外へ持ち出して勝ち馬を追い詰めた。これまたダービー2勝ジョッキーらしい完璧な立ち回りで、馬自体も東京では走りが違った印象を受けた。右回りでの手前の問題をクリアできれば、秋も相当楽しみとなる。
3着アドミラブルは、このスローペースで大外枠から終始外を回らされるのは厳しい形を言わざるを得なかったが、それでも直線で見せた脚は能力を示すもの。3月から4戦目というキツいローテーションを考えても、よくここまで走ったとすら思える。今後はうまくケアをして秋を迎えることになれば、菊に最も近い存在となるかもしれない。
4着マイスタイルは、絶妙のペースで逃げて、直線でもインぴったりを回ってアワヤのシーン。これまたべテラン横山典騎手の技が冴えての大健闘だった。
5着アルアインは、道中は絶好位で運ぶことができていたが、ジッとしていたことで4コーナー手前では狙ったポジションを2着馬に奪われてしまったもの。今日のペースなら距離の問題ではなく、鞍上のキャリアの差が出てしまったか。
ペルシアンナイトは、向正面で勝ち馬を追って進出したこと自体は、勝ち馬同様に正解と言えたが、そこで払った代償が最後に出てしまったのは距離の壁であり、2000mまでの馬だろう。サトノアーサーとカデナは、ともに4角でシンガリに近く今日の流れでは到底無理な位置取り。競馬にならなかった印象を受けた。
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