変幻自在にアンコール ルメールの手でフェイムゲームが復活

佐藤直文 レース回顧
目黒記念

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ストレスのない競馬で フェイムゲーム

 ダービーの余韻も覚めやらぬ最終レースに組まれた一戦。そのダービーよりも4コーナー寄りへ100m発走地点が移る2500m戦だが、スタート直後に坂があることを考えれば、単純な距離差以上にダービーとは異質の競馬となる舞台だ。加えて、前が飛ばして前半1000mは60秒7というこれまた異質な流れでも、変幻自在の立ち回りで勝った鞍上にとって、東京は自分の庭なのであろうか。

 フェイムゲームは、この馬としてはいつもより前目の中団で、仕掛けどころが難しい縦長の展開となったにもかかわらず、ダービーの勝ち馬とは対照的に道中で無駄な動きは一切なかった。直線では外から力強い伸びを見せたが、何のストレスもない競馬で持てる力を最大限に引き出したルメール騎手に、“あっぱれ”と言うしかない。

フェイムゲーム

約2年3カ月ぶりの勝利をあげたフェイムゲーム(緑帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ヴォルシェーブは、勝ち馬が直線で外に進路を見つけたのに対し、少し前が壁になってしまったもの。前走と同じように、馬群を捌いてからは力強い伸びを見せたものの、スムーズだった勝ち馬に屈した形だ。6歳とはいえまだキャリアは20戦に満たず、まだ伸びしろのある馬。もうワンランクの成長があれば、重賞に手が届くのはもちろんのこと、大舞台でもチャンスはあるはずだ。

 3着ハッピーモーメントは、離して逃げた馬を道中3番手から捕まえに動いて、直線で一旦は抜け出すかという見せ場十分の内容。久々を一叩きされて気合い乗りが良くなっていた上に、54キロのハンデを生かしての大善戦だった。

 4着クリプトグラムは、54キロのハンデで勝った昨年から1年ぶりの実戦。斤量が2キロ増えていたことを考えても、これはこれでよく走っている。どこかで一叩きできていれば、もっと際どい勝負になっていただろう。

 5着レコンダイトは、キレはしないもののジリジリと長くいい脚を使っての掲示板確保。一昨年2着の実績もあるように、この東京2500mはフルに力を発揮できる舞台だ。

 カフジプリンスは、道中は人気の2着馬を見る形で運んでいたが、相変わらず勝負どころでズブくなり、直線でもジリジリとしか伸びなかった。モンドインテロは、早目に仕掛けて4コーナーでは好位まで進出していたが、直線ではサッパリ伸びず。もっと溜めて行く方がいいのだろうか。ウムブルフにも同じことが言えそうだが、こちらはキャリアの差も出た印象。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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