レイデオロ万全の仕上りも、記者◎の数はキセキが断然！

ダービー馬レイデオロに　今夏最大の上がり馬キセキが迫る

デスク「距離が２４００ｍに延びた２００７年以降、ダービー出走組が圧倒的な強さを誇っているレースだが、中でもダービー連対馬は、１１頭出走して６勝、２着も４頭という凄い好走率だから、ここはレイデオロに逆らえそうもないのかな」

中邑「ソエの影響で直行となった皐月賞こそ、道中で流れに乗れなかったこともあって５着に敗れましたが、ダービーではスローペースと見るや、向正から動いてそのまま押し切るという過去の歴史にない勝ち方でしたからね。折り合いに心配がなく操縦性の高さがあってこそできた芸当で、そこがこの馬の最大の武器です。初の阪神コースも全く心配はなく、キッチリと勝って秋の大目標であるジャパンＣに向かいたいところでしょう」

田崎「レイデオロのダービーは、馬柱のレース戦評を“鞍上巧”としてもいいくらいのルメール騎手の好判断でしたが、それに応えた馬もまた見事でした。関西圏では初出走となるだけに、長距離輸送が鍵となるでしょうが、ダービートレーナーにその不安を抱くのも失礼な話でしょう。難なくクリアできるはずです」

桜井「そのダービーを振り返ってみても、逆転の可能性があると言えるのは２・３着馬までで、その２頭が不在なんですから、ここでは能力で抜けた最上位と見ていいですね」

デスク「問題の輸送も含めて、陣営の感触はどうなんだ？」

馬場「放牧先でのケアとリフレッシュの効果で、帰厩後は春の疲れなど微塵も感じさせませんね。そればかりか“体高が伸び、大人びた体つきになった”と成長ぶりもアピールする好仕上りです。取材は輸送前とはいえ“普段の仕草とかも大人びてきているので、輸送への不安はない”とのことですし、あれだけの馬が心身ともに成長しているのであれば、秋緒戦としていい結果を出せる可能性も限りなく高いですよ」

秋緒戦に臨むダービー馬レイデオロ(手前)（撮影：日刊ゲンダイ）

デスク「ただ、レイデオロ一強ムードかと思いきや、◎の数でははるかにキセキが上回っているんだな」

須藤「春はクラシックに出走できなかったとはいえ、関係者の期待は相当大きかった馬ですからね。ケタ違いの末脚で２連勝を飾り、本格化したと見ていいでしょう」

広田「春先と比べると体に芯が入ってきた、という話も聞いていますが、前走の信濃川特別は、勝ち時計が１分５６秒９、上がり３２秒９という破格と言える数字でしたし、素質馬が本格化したとあればダービー馬であっても難攻不落の敵ではないはずです」

那谷「とにかくキセキの潜在能力が相当なレベルであることに疑いの余地はないんだけど、まだキ甲が抜けていないように体型的な幼さが残っていて、俺はむしろ本格化手前の印象を受けるんだ。それであの強さだろ。セントライト記念でサトノクロニクルに乗ったミルコも、明言は避けているけど、現段階では非凡な瞬発力と大物感があるこの馬の方によりポテンシャルの高さを感じている口ぶりだったぞ」

吉田「キセキは、前走を見ても相当キレてる印象を受けますけど、２走前にしても上がり５ハロンのレースラップが全て１１秒台というロングスパートを要求される流れを、一気に突き抜けた凄い内容。休み明けから増え続けている馬体も、パドックでは全く太目に映らないあたりが成長し続けていることの証明でっしゃろ。その成長度でダービー馬をも凌ぐのでは、と思わせますわ」

菅「この中間も本当に良く見えますね。有力馬の中で夏場を使っているだけに、良く見えて当然なんですが、それにしても動きがスムーズです。そして、圧巻だった前走よりもさらに状態が上がって、上積みを感じさせる点でも、軸はコレかなと思いますね」

デスク「これだけみんなで盛り上がっているんだから、さぞや陣営も強気なんだろうな」

目黒「ここにきて２連勝と急激に力をつけた形ですが、さっきも須藤さんから話が出たように春の時点から“乗り味は一級品”と陣営の評価は極めて高かったんです。“春はハミの取り方に課題があったし、レースでもモタれるような面を見せて力を出し切れない部分がありましたからね。乗ってくれたジョッキーが皆、高く評価してくれていたし、噛み合ってくれば…と思っていましたが、ようやく自分のスタイルができあがってきた感じですね”と岸本助手は目を細めていました。おそらく今回も、じっくり構えて直線に賭ける競馬になりそうで、同世代のトップレベルを相手に末脚勝負に徹するとなると、なかなか甘くはないのでは、という見方もありますが“このメンバーで瞬発力勝負をしても十分、いい勝負になるよ”と強気のジャッジ。先週のラビットランに続いて、角居厩舎から新星が登場する公算が大と見ます」