性能が違う! 未来の短距離王タワーオブロンドンが快勝

佐藤直文 レース回顧
京王杯2歳S

ド迫力の瞬発力 末恐ろしいタワーオブロンドン

 前半3ハロンが36秒0というゆったりとした流れ。対してレースの上がり3ハロンが33秒8という、完全な瞬発力勝負となったが、このスローでの折り合いなど立ち回りの巧さも要求される形では、キャリアも含めて現時点での完成度も結果として現れたように思う。

 タワーオブロンドンは、抜群のスタートを決めたあともスッと折り合いが付いて、中団のインをロスなく追走。直線で馬場の中ほどへ持ち出されると、一気に抜け出すまでには至らなかったが、これは前の馬も止まってはいなかったためで、残り1ハロンからは性能の違いを示す伸びだった。距離はマイルも難なくこなせるだろうが、体型的には将来のスプリント戦線を担う存在になるのでは、との思いが強い。

タワーオブロンドン

瞬発力の違いで快勝したタワーオブロンドン(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着カシアスは、1200mの函館2歳Sを勝っているが、このペースでも何とか折り合えて運べたことが良かった。直線では3着馬の内をスクって上手に立ち回ったが、今日は相手が一枚上だっただけだろう。キンシャサノキセキ産駒は、産駒デビューの2014年からこれで4年連続で連対馬を輩出したことになり、改めてこの距離の適性の高さも示したと言える。

 3着アサクサゲンキは、これまた1200mの重賞勝ち馬ながら、よく抑えが利いていた。2着馬との差も早目に先頭に立って目標となった分と言えるが、基本的に1400mは長い馬かもしれない。

 4着ピースユニヴァースは、出遅れたこともあってか、これまでとは一転して最後方に控える形。難しいところのある馬で、直線を向くまで仕掛けられなかったのは仕方ないとしても、勝負に行った騎乗ではなかったように思う。ただ、今日の流れでよく差は詰めたと言える内容で、課題となる気性面での成長が待たれるところだ。

 5着ニシノウララは、好位をロスなく立ち回った流れ込んだもの。牝馬同士の自己条件に戻れば、勝ち負けになるレベルだろう。

 エントシャイデンは、枠なりに終始外々を回らされる形で、初戦のように弾けることができなかったが、このあたりはキャリアの差とも言える。タイセイプライドは、今日のペースで逃げて失速したのは案外の内容だったが、過去2戦とも時計自体が平凡だったことは確か。久々の影響だけではないかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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