次はダービー馬との再戦? スワーヴリチャードが大楽勝で力を証明

佐藤直文 レース回顧
アルゼンチン共和国杯

テン乗りとは思えないほどの人馬一体感 スワーヴリチャード

 紙面のコラムにも書いたが、このレースでは人気両馬にとって悩ましいデータが存在していた。まずは、前年に好走して斤量増となるアルバートのようなタイプに凡走例が多いことと、過去10年で3歳馬は3着が2回あるだけだということ。ただ、後者に関しては出走例が僅か3頭しかなく、連対はなくても好走率は高いと見ることもできた。これに今年の結果を加えて修正すると“3歳馬は5頭中4頭が馬券対象”という強固なデータとなる。

 スワーヴリチャードは、春までは課題だったスタートを普通に出て、そのまま好位のインで普通に折り合いが付いた。鞍上が再三にわたって追い切りを付けたことで、これがテン乗りとは思えないほどの人馬一体感があり、直線では何の苦労もなく抜け出した。久々で古馬とも初対決、3歳馬としてはけっした恵まれたとは言えない56キロのハンデでのこの勝ちっぷりは、改めて世代トップレベルの力を証明したと言える。次は、反動がなければジャパンC、大事を取れば有馬記念となるだろうが、最後は流すほど余裕があったことを考えれば、JCでさらに楽しみな一頭が加わることになるかもしれない。

スワーヴリチャード

3歳馬スワーヴリチャードが重賞2勝目をあげた(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ソールインパクトは、意識的に前で運んでピタリと折り合いも付いていた。最後は勝ち馬に一気に引き離されたが、ハンデも生かしての安泰の2着だった。距離に関してはもっと延びていい馬だけに、ステイヤーズSやダイヤモンドSでも期待していいだろう。

 3着セダブリランテスは、最大の強味である自在性を遺憾なく発揮し、予定していたセントライト記念を回避しての再調整だったことも考えれば、よく走っている。ハンデを2キロ貰って完敗した勝ち馬とは、現時点での差はあるものの、キャリアからもまだまだこれからの馬。いずれその差も埋まる可能性はある。

 4着アルバートは、トップハンデが応えたと見ていいが、結果的に前目のポジションで運んだ馬が上位を占める結果になったとはいえ、この馬に関してはもう少しジックリ運んだ方がいいとも言える。

 5着カレンミロティックは、道中2番手から直線でもけっしてバテてはいなかったが、さすがに往年の走りを望むのは酷かもしれない。

 デニムアンドルビーは、後方でジックリと脚を溜め、直線では大外から一瞬はいい脚を見せたものの、今日の流れでは厳しい位置取りだった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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