ラストランでレコードV 強いままでイスラボニータもターフに別れを

佐藤直文 レース回顧
阪神カップ

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フジキセキの後継種牡馬としても期待 イスラボニータ

 テン3ハロンが33秒8のハイラップが、結果的にレコード決着を生んだと言えるが、23年もの間破られなかったサクラバクシンオーの記録をコンマ4秒も更新したとあれば、今週からのコース変更の恩恵もあったとはいえ、相当優秀なタイムである。ラストランだった勝ち馬はともかくとして、上位組は来年の短距離~マイル路線でも大いに期待できるだろう。

 イスラボニータは、スタートで少し後手を踏んだが、内で包まれるのを嫌ったか、押し上げて先行グループに加わろうとしたところでスッと引く形。おそらく、テンのペースが速いと感じたのだろうが、このあたりがルメール騎手の巧いところだ。4コーナーでも外を回さずに、馬群を巧く捌いて、押し切りを図る2着馬をゴールではハナ差捉えていた。そんな鞍上による最高のエスコートがあったとはいえ、とにかく強い内容。本当にこれで引退となるのはもったいないが、父フジキセキの後継馬としての第二の仕事に期待したい。

イスラボニータ

引退の花道をレコードVで飾ったイスラボニータ(白帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ダンスディレクターは、今日の厳しい流れを前々で運んで一旦は完全に抜け出す、負けて強しの内容。昨年のこのレースのあとは1200m戦を使われてきたが、今なら1400mの方が競馬がしやすいのかもしれない。明けて8歳となるが、数を使っていない分、衰えもなく、まだまだ重賞戦線で暴れることができるはずだ。

 3着サングレーザーは、前半は後方でジックリ脚を溜め、外を回って進出しての直線勝負。良くも悪くも自分の競馬に徹した形だが、前も止まらぬレコード決着をここまで追い上げたのだから、これまた負けて強しだ。今後は、ロスのない運びで馬群を捌く競馬ができるかどうか。馬のみならず鞍上も含めての課題だろう。

 4着モズアスコットは、道中のポジションは勝ち馬とほぼ同じだったが、まだコーナーリングが一息で外を回らざるを得なかった。最後に伸び負けたのも、その分の差であり、能力自体はこのメンバーでも十分に足りることを示したように思う。来年は、3着馬とともに今後のこの路線を牽引していく存在となるだろう。

 5着ビップライブリーは、1200m戦に近いペースでも巧く流れに乗って、持ち味の渋太さを生かした形。ただ、相手なりの競馬をするタイプでもあり、重賞を勝つにはもうワンパンチ必要だろう。

 レーヌミノルは、控えたと言うより、流れが速すぎたのだろう。桜花賞やマイルCSのように、好位で運んで持ち味が生きるタイプであり、今日の位置取りでは厳しかったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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