鮮やかな“ミルコ・マジック”炸裂で、スマートオリオンがマイル重賞を制覇

【佐藤直文 先週のレース回顧】
マイル戦となってから波乱続きの中京記念は、“今年もまた”という決着に。一方、勝ち馬がなかなか出世しない函館2歳Sは、“今年こそ”大物出現の予感が。

佐藤直文 レース回顧
函館2歳S中京記念

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炸裂“ミルコ・マジック” スマートオリオン 【中京記念】

 まずはサマーマイルシリーズの中京記念。時期も移して1600m戦へと生まれ変わった3年前から、波乱決着が続いていたが、今年もまたご多分に漏れず、という決着になった。しかも、2頭しか出走していなかった関東馬のワンツーフィニッシュであり、ともに厩舎取材の感触も良かったのだが、常時馬を見ている我々関東スタッフにとっても買いづらい馬券ではあった。

 勝ったスマートオリオンは、終始好位で運んだが、前が目まぐるしく入れ替わる流れはけっして楽ではなかったように思う。ただ、常に自分のペースを守り、直線でも馬場のいいところへスッと持ち出しての早目先頭。例年の最終週ほど外が良く伸びる馬場ではなく、4コーナーで外を回っては届きにくい中で、鮮やかな“ミルコ・マジック”が決まった。優馬本紙でもコメント欄の“情報注目馬”として取り上げていたように、状態の良さも目立っていた馬。スプリント路線からマイル路線への転身で、今後も目を離すことはできない。

マイル初挑戦で見事勝利を収めたスマートオリオン(撮影:日刊ゲンダイ)

マイル初挑戦で見事勝利を収めたスマートオリオン(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着アルマディヴァンは、52キロの軽ハンデを生かした形だが、少し時計のかかる馬場での1600mがベストの条件と言える。後方で脚を溜めて、直線でも外を回さずに馬群を捌けたことも好走の因だろう。

 3着ダローネガは、その届きにくい外を回したクチだが、ゴール前での伸びを見ると、少しアクセルが踏み遅れた印象も受けた。上位人気の一角だけに、ジックリ運ぶのは仕方ないにしろ、もっと強気に出て良かったのではないか。

 7着までがコンマ2秒差にひしめくハンデ戦らしいゴール前で、けっして着順イコール実力差ではない。その7着のカレンブラックヒルは、先行したものの本来の自分の形の競馬ではなかった。行くなら行くでハナを譲らぬ形の方がいいと思えるし、前走の安田記念のように控えても競馬ができることを示したばかりだっただけに、中途半端だった印象が否めない。レッドアリオンは、前走が内で包まれただけに、控えて外へ持ち出す策も仕方ないのだが、勝負どころで少しモマれてしまった印象。スッと外へ持ち出せていたら、もう少し着順も上がったはずだが…。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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