逃げたらこんなに強いんです サンライズソアが名誉挽回

佐藤直文 レース回顧
平安S

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全くのマイペースで完勝 サンライズソア

 好メンバーが揃って時計の出る稍重馬場だった割りには、距離が1900mとなった2013年以降で最も遅い決着タイムとなったが、これは前半1000mが62秒7のスローな流れだったためであり、位置取りももちろんのこと、道中で脚を使わされた馬にとっては厳しい競馬となった。

 サンライズソアは、スタートを決めて注文通りにハナを奪ったが、まさに絶妙のペース配分での逃げ。後続が動いてきたあたりでは、お先にどうぞとばかりにハナを譲るシーンもあったほどで、全くのマイペースで運べていた。その分、直線でも余力が十分残っていての完勝。前走は出遅れて全く力を発揮できなかったが、自分の競馬ができればこれくらい走って不思議はない馬だ。鞍上も完全に手の内に入れているだけに、単なる展開に恵まれただけの勝利ではないと言える。

サンライズソア

7番人気サンライズソアが逃げ切って優勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着クイーンマンボは、好位でうまく流れに乗り、出入りの激しかった向正面でも無駄に動かなかったことで、直線でも渋太く脚を伸ばすことができた。

 3着クインズサターンは、いつもよりも前目のポジションで直線に賭ける自分の競馬ができたが、この馬にとっては流れが遅すぎたか。それでも、重賞で安定して走れているあたり、力は付けている。

 4着ミツバは、モマれるとダメな馬だけに最内枠は厳しく、道中で外へ持ち出して早目に動く形も仕方はなかった。ただ、前述したようにそこで脚を使った分だけ、最後は粘り切れなかった印象。

 5着グレイトパールは、向正面で仕掛けた4着馬と一緒に進出し、4コーナーでも手応えには余裕があったように見えたが、思いのほか伸びなかった。今日は勝ち馬の競馬だったとはいえ、長期休養明けを快勝してのいわゆる“二走ボケ”の印象も受けた。

 テイエムジンソクは、好位で脚を溜める形だったが、58キロの斤量を背負って上がり勝負となっては分が悪かったのも仕方はない。先々を考えて控える競馬を試したのだろうが、やはり理想は速めの流れで先行して後続に脚を使わせる形の馬であり、いずれにしろ叩いた次は変わってくるはずだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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