時計は嘘をつかなかった ゴール前でグイとウインテンダネス

佐藤直文 レース回顧
目黒記念

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自在性の高さもアピール ウインテンダネス

 ダービーの興奮も醒めやらぬ中での発走となったが、前半1000mがダービーよりも遅い61秒3のスローな流れだったにもかかわらず、決着タイムはレコードにコンマ1秒差。ダービー同様に、後方から運んだ馬には出番のない流れであった。

 ウインテンダネスは、逃げ切った前走とは一転して控える策。スローな流れで序盤こそ鞍上も抑えるのに苦労していたが、好位のインという絶好位をロスなく運べていた。直線残り100mで横一線となった中からグイと伸びたのは、54キロのハンデもあっただろうが、十分に脚も溜まっていたからこそ。前走の2400m2分22秒9という走破タイムが伊達ではなかったことと、自在性の高さを存分にアピールした一戦だった。

ウインテンダネス

9番人気のウインテンダネスが重賞初V(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ノーブルマーズは、前走同様の先行策で、流れも味方に付けて持ち味を生かし切ったもの。東京コースは走りやすい馬であり、前走メトロポリタンS好走馬が実績を残しているデータを考えても、何らフロックとは言えない激走だったように思う。

 3着パフォーマプロミスは、前を見る絶好位で運んで、直線では馬場の中ほどへ持ち出して抜け出しを図ったが、思いのほかキレなかったのは久々の分だろう。力は十分に示すレースぶりだった。

 4着ポポカテペトルは、いい感じで流れに乗って、直線では早目に動いて一旦は抜け出す形。先に動いた分、最後は追い負けたものの、重賞でもやれる力があることを示したと言える。

 5着ソールインパクトは、前過ぎず後ろ過ぎずのこの馬としては理想のポジションで運べていたが、もうワンパンチ足りないという課題が依然として残っている印象。

 ゼーヴィントは、枠なりにロスなく内を立ち回り、直線でも馬群を捌いて伸びかけたが、ラスト1ハロンを切ってから追いづらくなる不利。スムーズだったら際どい勝負になった可能性もある。チェスナットコートは、出遅れて今日の流れでは厳しい位置取りだったが、消耗戦となる流れやもっと長い距離でこその馬だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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