今年もまた「池江記念」 ストロングタイタンが待望の重賞初V

佐藤直文 レース回顧
鳴尾記念

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馬具で矯正、鞍上の意のままに ストロングタイタン

 再三にわたる施行時期や距離の変更を重ねて、2012年から宝塚記念のステップレースの意味合いを持たせてここに収まっているレース。ただ、2015年にこのレースと宝塚記念を連勝したラブリーデイの例があるとはいえ、この時期の高速馬場で中2週で本番へというローテーションは有力馬に敬遠されて当然であり、そこまでではない馬にとっても、この後に控えるサマー2000シリーズで全力投球したいはずだ。伝統のある重賞の名を汚さないように、もっと存在価値のある時期に施行されるべきかとも思う。

 ストロングタイタンは、道中は中団のインを手応え良く運び、勝負どころでも外へは持ち出さずインで待機。直線では、インをこじ開けて抜け出すデムーロ騎手の巧みな騎乗ぶりが光った。実力はありながらこれまで重賞を勝てなかったのは、気性に課題があったためだが、今回はチークピーシーズとメンコの着用により気の悪さも見せず、何より鞍上の意のままに立ち回れたことが、その効果を物語ったと言えよう。超高速馬場での大レコードで、当然その反動も出そうだが、前述したラブリーデイを管理していた池江寿厩舎だけに、うまくケアできれば中2週でも可能性はあるかもしれない。

ストロングタイタン

巧みにインコースを突いたストロングタイタン(橙帽)が重賞初V(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着トリオンフは、道中は勝ち馬とほぼ同じ位置取りだったが、勝負どころから外を回って先に仕掛けた分だけ、最後に伸び負けてしまった印象。自身も従来のレコードよりコンマ3秒も速い時計で駆けているのだが、文字通り、負けて強しの内容だろう。

 3着トリコロールブルーは、上位2頭よりも後ろの位置から、これまた外を回ってよく追い上げたもので、着差としては少し水を開けられたが、それはそれで内容のある競馬だった。今後の課題としては、勝ち馬のような立ち回りができれば、といったところだろう。

 4着マルターズアポジーは、自分の競馬はできていたが、前半1000m58秒2のハイラップなら、捕まるのも仕方はなかった。むしろ、大きくは崩れなかったことを評価すべきだろう。

 5着サトノノブレスは、従来のレコードを叩き出したのが2年前。8歳にして1分57秒台で駆けたのだから、これまたよく走っている。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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