一番最後に脚を使って激戦制す サングレーザー秋は何処へ

佐藤直文 レース回顧
札幌記念

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GI馬に競り勝って サングレーザー

 逃げ先行馬がズラリと揃ったことで淀みないペースになるという大方の予想通り、1000m通過は59秒1と、渋った馬場を考えれば明らかなハイペースとなった。ただ、向正面で一旦緩みかけたペースが、3コーナー手前でマイスタイルが動いて行ったことで、結果的にレースの上がり3ハロンは、12秒6-12秒5-12秒5というタフな競馬に。完全な差し・追込馬向きの展開になったと言える。

 サングレーザーは、距離延長で心配された折り合いを、淀みのない流れと前に壁を作って運ぶことで巧くクリアし、3~4コーナーの勝負どころでは馬群で動けなかったものの、かえってそこで脚が溜まったのも良かったか。直線で前をこじ開けることができたのも、最後に勝負強さを見せることができたのも、一番最後に脚を使えたからであろう。スワンSに続いて重い馬場をこなし、そして何より2000mの距離で結果を出したことで、秋の選択肢も広がったことは確かであろう。

 2着マカヒキは、序盤は後方で折り合いに専念し、勝負どころからは抑え切れない手応えで馬群の大外を進出。直線では一旦突き抜けたかと思われたが、最後に伸びが止まったところで内をすくわれた形だ。勝ち馬とはコースロスの分もあったが、まだ100%の状態に戻り切っていなかったのも確か。ただ、秋の完全復活は十分に期待できる内容だった。

 3着モズカッチャンは、2着馬同様に道中は最後方で脚を溜める競馬。4コーナーでもロスを抑えて内を回り、直線を向いてから馬群の外へ持ち出すという、鞍上の巧みな捌きで最後は怒涛の伸びを見せたが、あと一歩届かなかった。ハマったことは確かだが、こういう競馬もできたあたり、さすがはGI馬といえる力を示したと言える。

 4着サウンズオブアースは、手応えの割りに渋太く伸びた見せ場十分の内容。7歳を迎えて上がり目に乏しいかと思われた馬だが、時計のかかる洋芝というのはピッタリの条件だったのだろう。

 5着スティッフェリオは、先行好位勢が最後に軒並み失速したことを思えば、前々で運んでの掲示板確保は評価できる。これまたタフな洋芝が合っているのだろうが、力を付けていることも確かだ。

 サクラアンプルールは、3コーナー過ぎから抜群の手応えで進出し、直線で一旦は完全に抜け出していたが、今日の流れでは仕掛けのタイミングが早過ぎた印象。ミッキースワローは、直線で前が開かずに最後は鞍上も流していたが、こういう馬場は良くないのだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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