追走スムーズは2頭だけ 勝ったファンタジストは「マイルまでなら」

佐藤直文 レース回顧
京王杯2歳S

超スローで見せた抜群のセンス 夢が膨らむファンタジスト

 前半3ハロンが38秒0という、新馬・未勝利戦でもなかなかお目にかからないほどの超スロー。折り合いを欠く馬も多かった中で、終始スムーズに追走できていたのが、勝ち馬と、その勝ち馬を前に置いて折り合った2着馬だけだったか。

 ファンタジストは、このスローペースでも巧く折り合い、枠なりのインコースをロスなく立ち回ったもの。最後は2着馬に猛追されたが、抜かせない勝負根性も見せて、余力も感じさせた勝利だった。距離は1400mがベストかもしれないが、マイルまでなら十分にこなせそうで、次の大一番でも期待が持てる。

ファンタジスト

小倉2歳Sに続いて重賞連勝となったファンタジスト(白帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着アウィルアウェイは、出負けした上に序盤は行きたがる素振りも見せたが、鞍上が巧く宥めて落ち着かせてからはスムーズな追走。直線では開いたインをすくって勝ち馬を追い詰めたが、32秒台の上がりを駆使しても届かない流れなら仕方ないだろう。発馬も含めての乗り難しさが、今後への課題ではあるが、潜在能力はかなりのレベルだ。

 3着カルリーノは、好位で何とか我慢して距離延長にも対応はできていたが、上位2頭とはキレ味の差。ただ、自身も上がり33秒5の脚を使っているのだから、悲観すべき内容ではない。

 5着アスターペガサスは、今日の流れを4コーナーで外を回る形ではこの結果も致し方ないが、距離はマイルまでなら十分に対応できそうだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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