またも“ミルコ・マジック” 抜群の勝負勘でパッションダンスを躍らせる

【佐藤直文 先週のレース回顧】
新潟記念は、上位人気勢が伸びあぐねる中、デムーロ騎乗のパッションダンスがゴール寸前での差し切りV。2、3着にも伏兵が飛び込んでの波乱決着となった。夏を締めくくる2歳重賞、札幌ではアドマイヤエイカンがクラシック候補に名乗りを上げ、小倉ではシュウジが卓越したスプリント能力を披露した。

佐藤直文 レース回顧
札幌2歳S小倉2歳S新潟記念

冴えた鞍上の勝負勘 パッションダンス 【新潟記念】

 雨の影響で直前の10Rに良馬場から稍重へと馬場状態が変更されたが、それでも例年の良馬場並みの1分58秒2という決着になったのは、馬場の悪化を見越して各馬が早目にポジションを取りに行って速い流れになったためだ。舞台は同じであっても、スローで究極の瞬発力勝負となった春の新潟大賞典とは全く異質の競馬であり、そういった瞬発力が削がれる馬場で、前目で運んだ馬同士の決着となったのも当然の結果と言える。

 勝ったパッションダンスは、春の新潟大賞典では好位から運びながらキレ味比べで7着にとどまったが、今回もまた好位で運んだとはいえ、無理にポジションを取りに行く形ではなかった。こういう馬場が合っていることも確かだが、直線で馬場のいい外目に持ち出し、相手は後続馬ではなく前を行く2着馬と察知してスパートしたデムーロ騎手の勝負勘はさすがと思えた。7歳とはいえ、長期の休養もあってまだ17戦しか消化していない馬であり、まだまだ中距離路線での活躍も見込めそうだ。

パッションダンス

重賞2勝目をあげたパッションダンス(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マイネルミラノは本当に惜しかった。後続に脚を使わせる形での逃げ・先行で粘り込む競馬が理想のこの馬にとって、今日は流れも馬場も向いていた。この日はここまで3勝を含む5連対という“大知デー”であったが、とにかく乗れていたし、これで負けたのならしょうがないと言える、これまたデムーロに見劣らぬ好騎乗だった。

 3着ファントムライトには、正直驚かされた。前走がオープン特別で大敗し、これが重賞初出走の馬であったが、オペラハウス産駒らしくこういった馬場が合っていた、としか言いようがない。

 4着ロンギングダンサーは、キレ味の削がれる馬場でメンバー最速タイの上がりを使って差を詰めたもので、評価できる内容。目下の充実ぶりが著しい馬であり、良馬場であったなら、勝ち負けになっていた可能性も高い。

 ◎に推したダコールは、こういう馬場もこなせるタイプだが、プラス18キロの太目残りだった上に、道中の位置取りも後ろ過ぎたもの。注目された3歳勢、アヴニールマルシェは15着、ミュゼスルタンも16着と、枕を並べて討ち死にしたが、ともに初の古馬相手で、道悪も初めてだったことが影響したか。出走例が少ないとはいえ30年以上も3歳馬が連に絡んでいない重賞であり、来年以降もこのパターンでの3歳馬の出走に手放しで飛び付くのは危険かもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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