独壇場と言える豪脚 スマートオーディンが路線を替えて見事に復活

佐藤直文 レース回顧
阪急杯

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距離短縮で折り合いピタリ スマートオーディン

 外目の枠からダッシュを利かせてハナを奪ったダイアナヘイローに絡む馬もなく、前半3ハロンは34秒4という落ち着いた流れに。大外を何の不利もなく突き抜けた馬と、好位のインでロスのない立ち回りができた馬との決着は、もちろん共に実力があってこそではあったが、直線で大渋滞の馬群を捌き切れなかった馬も多かったように映った。

 スマートオーディンは、出負けというよりスタートをそっと出して離れた最後方で折り合えたもの。残り3ハロン地点から馬の行く気に任せて大外を進出すると、直線では独壇場と言える豪脚で一気に前を呑み込んだ形だ。3歳春までに中距離重賞を3勝した後に2年以上に及ぶ長いブランクを経て復帰した馬だが、近走のマイル戦でもとにかく折り合いが難しかった馬であり、鞍上も巧く工夫したとはいえ、1400mへの距離短縮でピタリと折り合えたことが最大の勝因だろう。

スマートオーディン

2年9ヶ月ぶりの勝利を1400m戦であげたスマートオーディン(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着レッツゴードンキは、最内枠からスタートを決めて好位のインをロスなく運べたもの。直線でも余裕の手応えで前を交わしたが、外から出し抜けを喰らう形では抵抗できないのも仕方はなかった。ただ、7歳を迎えても馬体には若さが漲っており、久々だった1400mも今ならこの距離の方が競馬もしやすいのではないだろうか。

 3着ロジクライは、直線で狙ったインが開かずに少し追い出しを待たされるシーンがあったが、これまた140mの距離自体は全く問題はなく、むしろ気性的に合っているとすら思えた。

 4着ロードクエストは、出負け気味のスタートから後方で運び、直線でも外へ持ち出すことができずに馬群でブレーキを踏むシーンもあった。それでも最後に脚を使えたのは、目下の状態の良さゆえだろう。

 5着エントシャイデンは、ただでさえ距離ロスの大きい大外枠と、直線の大渋滞で進路を切り替えるロスもあったことを考えれば、力は示す内容。スムーズな競馬ができれば重賞でも勝ち負けになるレベルだ。

 ダイアナヘイローは、昨年も外目の枠からの逃げ切りであり、今日のペースを考えればもっと粘れて良かったはずだが、2番の利かない馬でもある。ミスターメロディは、好位の外目を追走する形だったが、行くでもない控えるでもない中途半端な競馬になってしまった印象。もう少し内目の枠を引けていれば違ったかもしれないが、いずれにしろ今日のところは力負けではない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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