これは強い マイル路線に新星出現フィアーノロマーノ

佐藤直文 レース回顧
ダービー卿CT

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激流を凌いで重賞初V フィアーノロマーノ

 スタート直後こそ各馬が出方を窺う形だったが、マルターズアポジーがガンガン行ったことにより、2ハロン目から4ハロン目までのラップが、10秒8-11秒0-11秒2というスプリント戦並みのハイラップになった。例年よりも時計の出る馬場とはいえ、2015年にモーリスがマークしたレースレコードをコンマ5秒も更新する決着となったのも、そのハイペースゆえであるが、この流れを前々で運んで抜け出した勝ち馬は、着差以上の力を示したと言えよう。

 そのフィアーノロマーノ。好スタートを切って、グンとペースが上がったところでうまく好位に下げ、勝負どころから手応え良く動いて4コーナーでは先頭に並びかける形。流れを考えれば、見た目には抜け出すのが少し早いとも映ったが、こういう競馬で押し切れるという川田騎手の自信に満ちた騎乗だったように思う。2~4着が中団から後方を運んだ馬が占めたという点でも、前述したように強い勝ちっぷり。南半球産の遅生まれで、5歳とはいえまだまだ上を目指せる馬であり、コース替わりの安田記念でも楽しみな存在になった。

フィアーノロマーノ

フィアーノロマーノが1分31秒7の好時計で重賞初V(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着プリモシーンは、流れを考えれば中団の理想的なポジションで運べていたが、勝負どころで少し反応が鈍かったのは久々の分だったか。それでも牝馬で55キロの重いハンデを背負い、勝ち馬を追い詰めたあたりは力の証だろう。

 3着マイスタイルは、2走前から控える競馬を試みて、今回も差す形でそれが板に付いたと言えるレース運び。京都金杯に続いてのマイル戦での好走で、今後の選択肢も広がったと言える。

 4着ダイアトニックは、1400mを続けて使ってきたこの馬にとっても厳しい流れでの後方追走だったが、展開にも乗じて直線では目立つ伸び脚を見せた。ハンデの恩恵もあったとはいえ、確実に力は付けている。

 5着ギベオンは、好位で運んで勝負どころから勝ち馬を追う形だったが、手応えの差が歴然としていた。今日のところはトップハンデの分もあったが、マイルは少し忙しく、1800~2000mがベストの馬ではないだろうか。

 ドーヴァーは、中団から運んでいたが、十分に脚を溜めることができない追走だったように思う。自身の走破時計も前走から詰めていただけに、今日のところは時計が速過ぎたと見ていいだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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